次のキャンペーンで除外ターゲティングの使用を検討すべき理由

投稿者: Zhixun Wang(上級データサイエンティスト)およびAshton Brown(テクニカルライター)

この調査では、Amazonストアの住居環境カテゴリーに属する3,500を超えるブランドを対象に、パフォーマンスの高い広告主様と低い広告主様の広告戦略を比較しています。この比較を基に、広告主様がブランド新規顧客の成長率と商品詳細ページ閲覧数の増加率を前年比で向上させるために役立つ可能性のある、実用的なインサイトを導き出します。

ストーリーのハイライト:

この調査では、2018年、2019年、2020年の時点で住居環境カテゴリーに掲載されていた3,500を超えるブランドを分析しました。住居環境カテゴリーには、空気清浄機、加湿器、ヒーターなどの商品を出品するブランドが含まれます。分析を行うために、住居環境ブランドを5つのクラスターにグループ分けしました。クラスター1は商品詳細ページの閲覧数の前年比成長率(DPVGR)、広告費用対効果(ROAS)、お客様あたりの支出額(CS)において最も成功したグループで、クラスター5は最も成功しなかったグループです。CSは、お客様あたりの平均売上額と定義します。

分析では、パフォーマンスが高い住居環境の広告主様(クラスター1)は、パフォーマンスが低い広告主様(クラスター5)と比較して、DPVGRが1.1倍高く、ROASが50%高く、CSが16.5倍高いことがわかりました。

パフォーマンスの高い広告主様

1.1倍

高いDPVGR

1.5倍

高いROAS

16.5倍

高いCS

広告主様に実用的なインサイトを提供するために、機械学習を使用して、DPVGR/ROAS/CSに多かれ少なかれ寄与する50を超える広告属性を分析しました。次に、商品詳細ページの閲覧数の前年比成長率、広告費用対効果、お客様あたりのコストに最も大きなプラスの影響を与えている属性を特定しました。この記事では、パフォーマンスが高い住居環境ブランドの広告主様(クラスター1)とパフォーマンスが低い住居環境の広告主様(クラスター5)が各主要属性または戦略をどの程度採用しているかを定量化することにより、主要な属性または戦略に関するインサイトとベストプラクティスを提供します。

この調査の実施方法の詳細については、この記事の最後にある「調査方法」セクションを参照してください。

パフォーマンスの高い住居環境の広告主様は、パフォーマンス下位の広告主様と比べて除外キーワードと除外するASINの使用が4倍多かった

商品検索結果の関連性は、より高い消費者エンゲージメントにつながる可能性があります。成功指標が上位のクラスターにおいては、除外キーワードや除外するASIN戦略を使用したキャンペーンで配信されたインプレッションが占める割合は平均12%でしたが、下位スコアのクラスターにおいては3%でした。

除外キーワード/除外するASINで配信されたインプレッションの割合

12%

パフォーマンスの高い広告主様

3%

パフォーマンスが低い広告主様

除外キーワードや除外するASIN戦略の使用例

除外キーワードや除外するASIN戦略がどのように使われているかを紹介するために、次の2つのシナリオを見ていきます。

  • シナリオ1 - 家庭用エアフィルターをプロモーションしている企業では、キャンペーンに「自動車」などの除外キーワードを含めることができます。これにより、広告が自動車のフィルターと競合することを防げます。つまり、より関連性の高い商品検索に応じて、家庭用エアフィルター専用のキャンペーンが表示されます。
  • シナリオ2 - タワーファンの取扱品目の広告のみを掲載したい企業では、除外キーワードとして「デスク」または「卓上」を使用して、異なる用途の扇風機を探している購入者に広告を表示することを回避できるかもしれません。

除外キーワードまたは除外するASIN戦略を使用するにあたっての重要点とベストプラクティス

除外キーワードや除外するASIN戦略がどのように使われているかを紹介するために、次の2つのシナリオを見ていきます。

  • 指標を使用して除外キーワードを選択する: クリックスルー率とコンバージョン率が低いことは、キーワードのパフォーマンスが低く、除外キーワードの候補となる可能性があることを示す適切な指標です。
  • テストと学習: 理論上役に立つ除外キーワードをテストし、学習し、成果を上げているキーワードを使って頻繁に最適化することができます。

パフォーマンスの高い住居環境の広告主様は、パフォーマンス下位の広告主様と比べて地理的オーディエンスを利用する傾向が4.5倍高かった

分析では、パフォーマンスの高い住居環境の広告主様は地理的オーディエンスを使用して広告全体の9%を配信しているのに対し、パフォーマンスが低い広告主様は地理的オーディエンスを通じて広告の2%しか配信していないことがわかりました。このアプローチは、特定の地域でキャンペーンがより多くの新規オーディエンスにリーチするのに役立つ場合があります。また、住居環境商品に対する異なるニーズのある地域にいるオーディエンスにキャンペーンがリーチするのにも役立つ可能性があります。たとえば、広告主様は高温多湿の地域には扇風機と除湿機の広告を表示し、冬季の寒冷地にのみ暖房器と加湿器の広告を表示したい場合があります。

地理的オーディエンスセグメントで配信された広告の割合

9%

パフォーマンスの高い広告主様

2%

パフォーマンスが低い広告主様

地理的オーディエンスを使用するにあたっての重要点とベストプラクティス

  • カスタムオーディエンスを作る: Amazon Adsツールを活用し、キャンペーンの目標に合った地理的シグナルに基づいてカスタムオーディエンスセグメントを作成することを検討しましょう。
  • 季節要因: 地域ごとに異なる気候に基づき、季節性のある適切な地理的戦略をさまざまな商品に使用することを検討しましょう。

まとめ

分析により、広告主様がDPVGR/ROAS/CSにプラスの影響を与えることができる可能性がある2つの主な方法が見つかりました。まず、除外キーワードや除外するASIN戦略を使用すると、広告主様は商品タイプに合った適切なオーディエンスに広告を届けられる可能性があります。次に、広告主様は、地理的オーディエンスを利用して、お客様の所在地に応じて広告や商品を表示できる場合があります。これらの2つの方法は個別にDPVGR/ROAS/CSの向上に役立つ可能性があるだけでなく、一緒に使用することで相互にメリットをもたらす可能性もあります。

調査方法

まず、教師ありモデルを使用して、40を超えるメディアおよびリテール広告属性において複合スコアの向上に役立つ属性のリストを特定しました。具体的には、5ステップのプロセスに従い、商品詳細ページのページビューの前年比成長率、広告費用対効果、お客様あたりの平均支出の成功指標を作成した後、機械学習アルゴリズムを利用して、成功指標の向上に最も貢献した広告戦略とリテール戦略を特定しました。

  • ブランドの選択: 2018年、2019年、2020年における3,500以上の住居環境カテゴリーのブランド。
  • 成功指標の作成: 商品詳細ページの閲覧数、広告費用対効果、お客様あたりの平均支出における前年比増加率に基づいて算出されました。
  • 効果的な広告またはリテールアクションの特定: 複合スコアの向上に役立つ上位のアクション(DPVGR/ROAS/CSの前年比増加につながるアクション)を特定しました。
  • ブランドのグループ化: ブランドを複合スコア(DPVGR/ROAS/CS)でパフォーマンスが上位のものから下位のものへとランク付けされた5つのクラスターにグループ化しました。
  • ブランドグループの比較: ブランドが使用した戦略を特定し、パフォーマンスの高いブランド(クラスター1)がパフォーマンスの低いブランド(クラスター5)が使用した戦略よりも商品詳細ページの閲覧数、広告費用対効果、お客様あたりの支出の前年比成長率を増加させた度合いを定量化しました。