ブランドは別の文化を単に訪れるだけであってはなりません。ブランドはそこに留まらなければならないのです。

2024年6月17日 | 投稿者:Justin Kirkland、コピーライター

4人の人

交差点を思い描いてください。

ほとんどの人にとって思い浮かぶのは、互いに交差する2本の道のいくつかのパターンです。しかし、さらに一歩踏み込んでみると、それらの道はどのように見えますか? ハイカーにとっては、何マイルにもわたる緑に囲まれた2本の泥まみれの道かもしれません。小さな町の住人にとっては、2本の主な道路があって、近所の唯一の信号につながる場所かもしれません。都会の住人にとっては、横断歩道の角にたどり着いて待つ分岐点です。

こうした視点や相違点こそが、社会をとても興味深く複雑なものにしているのです。また、自分の文化や自己認識の方法にも影響を及ぼしています。ブランドマーケティングを含め、世界とかかわる方法を決めるのは、ジェンダーアイデンティティ、社会経済的地位、消費するメディアなど、あらゆるものの組み合わせです。そして、こうした微妙な細部と共に、消費者と本音で真剣に対話することの重要性は、かつてないほど重要になっています。

ブランドが文化的なストーリーテリングに踏み込む場合、それが音楽や文化的な習慣、誰かの実体験描写のいずれを使うとしても、ブランドは本物であることを優先しなければなりません。お客様の経験や視点がマーケティング戦略に影響するはずですが、純粋に本物の方法でお客様にリーチするには、ブランドはその文化について積極的に調査し、学び、サポートし、そこに留まる必要があります。

本物のつながりを築く

ブランドがお客様の文化について考え、そのコミュニティにアプローチする最善の方法を検討する際、特に文化的な隔たりや意見の相違にまつわる世論を考慮すると、これまで以上に慎重になる必要があります。Amazon Adsが最近公開した調査「From Ads to Zeitgeist」によると、回答者の66%がコミュニティ意識と帰属意識をより強く感じたいと答えた一方で、70%が社会はこれまで以上に分断されていると感じるとも答えています。ブランドは、その文化的な裂け目にただ包帯を巻いて隠し、文化的な接点をいいとこ取りして引用し、「さあどうぞ!」と言うわけにはいきません。 文化的に関連性の高いコンテンツを作成するには、ブランドとお客様との継続的な対話が必要です。

たとえば、多文化マーケティングのアウトリーチを検討する場合、尋ねるべき最も重要な質問の1つは、対象オーディエンスに有意義にリーチすることに、ブランドはどの程度真剣に取り組んでいるかという点です。簡単に言えば、 ブランドは、その文化の訪問者になるのではなく、その文化の中に留まる覚悟が必要です。「From Ads to Zeitgeist」の調査によると、アンケート回答者の10人に7人が、異文化を反映した、もっと本物のリアルなストーリーをメディアで見たいと思っています。その本物らしさは、単にオーディエンスを理解するだけではなく、ブランドが何を支持するのか、ブランドがどこで宣伝するのか、ブランドについて誰が決定を下しているのかというところにまで広がります。

Amazon Ads Brand Innovation Labは、SIMSやコンテンツクリエイターと協力して、長期にわたって支持されたゲームの文化的影響を中心に据えたキャンペーンを作成しました。

特定のコミュニティとつながるには、ブランドはある程度の自己認識を持つ必要があります。「[ブランド]は発信するメッセージやルックアンドフィールにこだわる必要があります」と、LEGOなどの企業ブランドのキャンペーンで活躍するマーケティングのベテラン、Roy Yeo氏は言います。しかし、そのような認識を持っているからといって、ブランドがどのオーディエンスにリーチすべきかに関してまったく自由に決めてよいというわけではありません。

実際、Yeo氏は、多様化が行き過ぎると、自己認識と真正性のレベルが損なわれてしまうことを示唆しています。あまりにも多くのグループにリーチしようとして、各グループへの投資が十分ではなくなると、ブランドは不信感を抱かれるリスクにさらされます。Yeo氏は次のように説明しています。「アイデンティティがなくなったため、基本的にブランド力が弱まります。さまざまなものを提供するために手を広げ過ぎて、人々は貴社が何を支持していたのか分からなくなってしまったのです。」

その場にいること

ブランドが何を支持しているのかをはっきりさせ、行動によってそれを証明することは、ブランドが多様なオーディエンスと有意義な方法で一層つながることができる1つの方法です。Amazon Adsの調査によると、回答者の72%が、ブランドが自社の価値を伝えるには、広告の掲載方法や掲載場所を含め、広告がよい方法であると考えています。それを効果的に行うには、ブランドの核の中から始めて、外に向けて取り組む必要があります。Amazon MGM Studiosの2023年の「Progress on Inclusion」レポートによると、クリエイティブ開発のアイデア立案段階とリーダーシップ段階で確実に代表者を置くことが、お客様にとってベストなコンテンツを作ることに寄与する成長戦略になります。このレポートでは、Amazon MGM Studiosがシリーズ物でも映画でも、カメラの前でもカメラの背後でも、インクルージョンを支持する中で達成した進歩について詳しく説明しています。

「女性監督が少なくとも1人いる場合、メインキャスト(主役、レギュラー/リカーリング、脇役)役における女性の割合は、全作品中50%であるのに対し、女性監督がいない場合は42%です」とレポートには記載されています。「黒人脚本家が少なくとも1人いる場合、メインキャスト役における黒人の割合は、全作品中34%であるのに対し、黒人脚本家がいない場合は11%です。ラテン系のクリエイターが少なくとも1人いる場合、メインキャスト役におけるラテン系の割合は、全作品中20%であるのに対し、ラテン系のクリエイターがいない場合は5%です。」

こうした視点を全体にわたって取り入れることは、多様性のチェックボックスにチェックを入れるということではありません。むしろ、ブランドが進む方向を明確にしていることになります。マーケティングキャンペーンの開発と実施に多様な視点を取り入れることは、ブランドがナラティブを変え、固定観念や社会的スティグマを打ち破り、より効果的かつ本物の方法でオーディエンスに語りかけるのに役立つだけでなく、文化的適応性を持つ人がそれぞれの文化の背後にあるニュアンスを確実に理解できるようにします。

世界がブランドとその多様性と表現の採用に対してより批判的な目を向けるようになるにつれて、表現とストーリーテリングの基準は引き上げられてきました。人々やその文化は、こちらの思いのままキャンペーンに持ち出して、利用できるようなものではありません。消費者は、ブランドアイデンティティやパブリックイメージ、紹介するコミュニティの心や真実の姿を捉えるマーケティングキャンペーンを作成してくれる広告主を探しています。そこで、文化の交差点を理解することが、キャンペーンをより有意義なものにするのに役立ちます。

Amazon Adsはイノベーションを続け、状況に合わせて関連性の高い広告を通じてお客様とつなげる方法を開発してきました。Prime Videoのスポーツ中継を通じて、広告主様はいわゆるオーディエンスベースのクリエイティブを作成し、Amazonのファーストパーティインサイトを活用して、さまざまなサブグループにお客様中心の複数の広告を配信できます。たとえば、ある自動車会社は、家族がいる家庭には似たような家族とミニバンを特集した広告を配信し、独身男性にはそのような人に合うよう、よりコンパクトな車を特集した同社の広告を配信できます。これらのニュアンスを特定して直接語りかけることは、広告主様がお客様の生活により関連性が高まったと感じるのに役立ちます。

偽文化人の罠を避ける

しかし何よりも、本物であるためには時間がかかります。コミュニティの文化の中でブランドが自らの場所を見つけることにおいては、万能薬はありません。この種のつながりを築くには、投資や調査、そして最終的にはお客様との双方向の対話に参加するという意思が求められます。Amazon Musicの商品および統合マーケティングのグローバルブランド責任者を務めるKelley Waltonは、以前にHennesseyで仕事をしていた頃を思い出します。彼女は、当時はメインストリームでの成功をまだつかんでいなかった世界的なスーパースターと一緒に働いていました。

Kelleyはこう言います。「本当に心に留めていた点の一つは、文化を形作る者としての自分たちの役割でした。今では世界のアイコン的な存在になっているアーティストやブランドのいくつかを思い出します。Shepard Fairey[や]Kendrick Lamarのような人たちと一緒に仕事をしていたのは10年前、彼らが文化的時代精神に入るずっと前のことでした。わたしたちはA$AP Rockyとも仕事をしました。わたしたちはこうしたアーティストたちが人々に知られるようになるずっと前に、彼らと協力していたのです。」

ブランドのトーンを決めるのは、その特異性のレベルです。もしブランドが文化に対応できているならば、それは文化的な接点がメインストリームになるまでブランドが待っていたからでしょう。もう少し具体的に言えば、多数派の視点によって厳選され、称賛される文化になるまで待っていたからでしょう。それは事後対応型です。ブランドは次の点を決める必要があります。 自分たちはこのコミュニティに留まる意思があるだろうか、それとも訪問することだけに興味があるだろうか?

広告評議会

「Sound It Out: When You Can Say It, Play It」は、Amazon Music、Alexa、広告評議会が策定したキャンペーンです。

そうしたお客様にアプローチする1つの方法は、お客様をクリエイティブなプロセスに引き込むことです。Amazon Adsは広告評議会と協力して「Sound It Out: When You Can’t Say It, Play It」キャンペーンを策定しました。Amazon Ads Brand Innovation Lab(BIL)は、Amazon Musicを通じて入手可能な1億の曲を活用して、広告評議会と協力し、さまざまなティーンエイジャーの意見を取り入れて、親が10代の子供とつながるのに役立つプレイリストを作成しました。広告協議会とBILは、希望するオーディエンスを巻き込み、それぞれの好み、文化、視点をプレイリストに取り入れてもらうことで、ティーンエイジャーによって開発された本物のプレイリストを作成し、大人が自分の10代の子供と触れ合いたいときに使用できるようにしました。

Amazon Adsのリーチにより、Prime Video、Amazon Music、Wonderyなどの番組とブランドを組み合わせて、ブランドはオーガニックでニュアンスに富んだニッチなポジショニングを見つけるのに役立てることができます。しかし、重要な仕事、つまり長期的な関係の強固な基盤を築くようなつながりは、投資、ケア、そして他の人々の文化とつながる方法についての思慮深い理解から生まれます。世界が進展するにつれて、お客様は誰が自分たちにアプローチしているのか、自分たちの愛する文化がつながりを築くためにどのように使われているのかを一層意識するようになっています。

そして、ブランドが有意義な方法で対話に加わると、つまり単に一瞬だけ加わるのではなく、文化の中にブランドを定着させるようなかたちで参加すると、お客様はただ驚いたり喜んだりするに留まりません。お客様は、ブランドを自分たちの文化の一部として受け入れてくれるでしょう。