専門家からのアドバイス

意思決定に影響を与えるシグナル: ファネル全体にわたるコネクテッドジャーニーを構築する方法

Amo Aujla-Tse氏

2026年6月9日 | Publicis Media、リテールメディア戦略パートナー(コマース担当)、Amo Aujla-Tse

パートナーの視点

パートナーの視点

「パートナーの視点」は、Amazon Adsパートナーネットワークに参加している広告リーダーたちが、クライアントの成果につながる戦略やヒントについて実地で得たインサイトをお届けするシリーズです。今回は、Publicis Mediaのリテールメディア戦略パートナー(コマース担当)であるAmo Aujla-Tse氏が、ブランドがカスタマージャーニー全体でのさまざまな瞬間をつなぎ、持続可能なフルファネル成長を実現する上で、シグナルの活用がどのように役立つかをお話しします。

現在、シグナル主導のマーケティングについての議論は盛んですが、多くの広告主様の戦略には依然として同じようなパターンが見られます。徹底的な基本の検証を行わないままグローバルプランがさまざまな地域で展開され、成果はラストクリック広告費用対効果(ROAS)のみで測定されます。さらに、シグナルはキャンペーン進行中に活用するものではなく、キャンペーン終了後に確認するものとして扱われています。

スライド上では、すべてが整然と見えます。しかし、成長は、必ずしもそうではありません。そのギャップが、問題の手がかりとなります。

Amazon Adsのソリューションは、意図、メディア、クリエイティブ、コマースを緊密に結び付け、一体となって機能するようにし、ブランドが個別のタッチポイントではなく、カスタマージャーニー全体で考えることを目指すときに最大の効果を発揮します。しかしそれは、事後に意思決定を確認するためだけではなく、積極的に意思決定を変えるためにシグナルを使用する時に実現できます。

シェルフは依然として重要

これが最も顕著に表れる場面の一つが、「デジタルシェルフ」です。 メディアには、在庫状況が不安定な場合、商品詳細ページの内容が不十分な場合、評価やレビューが競合他社に比べて少ない場合、合理的な範囲を超えた働きが求められることになります。パフォーマンスが低下すると、多くの場合プランの見直しが行われます。しかし、問題は基本的な部分にあることが少なくありません。

優れたプログラムでは、この点が徹底されています。チームは早い段階から連携し、複数の地域でシェルフを徹底的に検証した上で、需要に対応できる状態にしてから展開を拡大します。そのような状況では、メディアは補完的な役割を超え、成長を加速させる存在へと変わります。

これは、Halo効果による、より好調な売上や、リードイン期間とリードアウト期間を通じたより安定したパフォーマンスに表れます。最初にシェルフを整備するブランドほど、キャンペーン中のトラブル対応に追われる時間が減り、持続可能な成長基盤の構築により多くの時間を充てられる傾向があります。

ラストクリックだけでは全体像は見えない

別のよく見られるパターンは、ラストクリックROASへの業界のこだわりです。分かりやすく安心感はありますが、それだけでは全体像は見えません。より効果的なアプローチは、売上合計、ブランド新規顧客の貢献度、カテゴリーシェアなど、より幅広いシグナルを確認することです。これらの指標は、カスタマージャーニー全体でのさまざまな瞬間がどのように連携しているかを示しているため、将来の需要を生み出しているのか、それともすでに存在していた需要を収穫しているだけなのかを判断する上で役立ちます。

ここでは、Amazon Marketing Cloud(AMC)が特に役立ちます。AMCを使用すると、ブランドはAmazon Adsで利用可能なすべてのインサイトに対してカスタムクエリを実行し、コンバージョンパス分析、オーディエンス重複、ブランド新規顧客のアトリビューションウィンドウなどを確認できます。これらのインサイトは、効果測定に関する議論を根底から見直す際に役立ちます。チームは、チャネルごとの支出を正当化することではなく、カスタマージャーニー全体の中でさまざまな瞬間がどのように連携しているかを示すことが可能になります。Publicisでは、Publicis Warehouseを利用して、これをさらに一歩進めています。Publicis Warehouseは、AMCオーディエンスをASINの収益性、純収益の促進要因、インクリメンタリティと結び付けます。アッパーファネルでの活動が時間の経過とともに何に貢献するかが明確になれば、それはもはや根拠のない賭けではなくなります。

習慣ではなく、需要に従う

需要シグナルも同様の役割を果たします。カテゴリーごとの検索トレンドや競合状況の激しさを把握すると、過去のパフォーマンスだけに依存する場合よりも、注目がどこに移っているかをより正確に把握できます。それにもかかわらず、多くのプランでは慣れ親しんだ主力商品がそのまま使われ続けています。

需要に従うブランドは、より迅速に動き、無駄な支出を抑え、より広範で持続的な成長を早期に実現できます。通常、得られる成果は短期的な勝利にとどまりません。カテゴリー全体の勢いの拡大やブランド新規顧客の獲得強化として現れます。

タイミングが大きな役割を担う

タイミングは、フォーマットの選択と同様に重要です。Samsungがホリデーシーズンに実施したLa Traversée Twitch施策は、注目度、フォーマット、タイミングが適切に組み合わさったときに何が起こるかを示す好例です。Twitchの主要イベントに合わせて高インパクトな掲載枠を活用することで、このキャンペーンは想定の2倍を超えるインプレッションを達成し、視聴後の強いエンゲージメントを実現しました。1

教訓は、最も受け入れやすいタイミングを尊重することです。つまり、効果を薄く広げ、頻度を増やして成果を期待することではなく、オーディエンスがカスタマージャーニーのどの段階にいるのかを把握し、次の段階に自然に進む瞬間に現れることが重要です。

注目度が高まる瞬間に合わせて計画を立てると、固定的なプランではなかなか得られないスケールと効率を実現する上で役立つ可能性があります。これは、忘れずにおきたい重要なポイントです。

ファーストパーティシグナルを正しく活用する

最後に、ファーストパーティシグナルがあります。多くの場合、これらは切り離して管理され、活用されていません。ブランドが責任ある形で自社の顧客情報をAmazon Adsと連携させれば、これらのシグナルは新規顧客獲得の精度向上、効果測定の改善、キャンペーン実施中のより的確な意思決定に役立つ可能性があります。

ここで重要なのは、アイデンティティインフラストラクチャです。Publicis Connected Identityなどのソリューションを利用すると、ブランドはメディア、コマース、CRMの各環境に存在する同意取得済みシグナルを、プライバシーを保護した形で連携できます。これにより、お客様のプライバシーを保護して信頼を維持しつつ、お客様の行動をより明確に把握できるようになります。Amazon Marketing CloudやPublicis Warehouseなどのツールと組み合わせることで、カスタマージャーニー全体にわたるインクリメンタリティ、新規獲得、長期的な価値をより強力に把握できます。

これらすべてから得られる一つの教訓は、シグナルは行動を変えるときにのみ意味を持つということです。持続可能な成長を実現するには、ブランドはメディア、クリエイティブ、コマースを別々の領域として扱うことをやめる必要があります。リテールメディアは、ロワーファネルの追加オプションではありません。Amazon Adsにおいては、ブランドがコネクテッドジャーニーで考える際に最大限機能するフルファネルソリューションになります。

Amazon Adsパートナーとの提携は、お客様が存在するあらゆる場所でビジネスの成長に役立つ可能性があります。Publicis Commerceについての詳細はこちら

出典

1 パートナー提供データ、2025年。

著者について

Amo Aujla-Tse氏は、Publicis Mediaのリテールメディア戦略パートナー(コマース担当)として、コマースジャーニーを結び付け、ブランドと購入者のインサイトを統合し、ピュアプレイおよびオムニチャネル小売業者全体でブランドの測定可能な収益成長を実現する、大胆かつビジネス成果重視の戦略提供を支援しています。Amo氏は、小売業者やアドテックとの戦略的パートナーシップを築き、持続的な競争上の優位性を生み出す取り組みと、テスト・学習・革新を重視する厳密なアジェンダを推進して新たな機会をスケーラブルなインパクトへと転換する姿勢で高く評価されています。彼女の専門知識は、複雑な課題の整理と組織の縦割りの解消を通じて、あらゆるレベルのステークホルダー間での合意形成を推進しています。