専門家からのアドバイス

AI動画生成ツールはツールであり、戦略ではない: 意図的に活用するための5つの原則

Claire Magruder氏

2026年6月11日 | Global Overview、GO Studio担当ディレクター、Claire Magruder

パートナーの視点

パートナーの視点

「パートナーの視点」は、Amazon Adsパートナーネットワークに参加している広告リーダーたちが、クライアントの成果につながる戦略やヒントについて実地で得たインサイトをお届けするシリーズです。今回は、Global OverviewのGO Studio担当ディレクターであるClaire Magruder氏が、AI生成動画を戦略的に活用するための5つの原則を解説します。

ブランドマーケターなら誰でも、自社でもやってみたかったと思う動画クリエイティブを挙げることができます。実施されることがなかったストリーミングTVのテスト。パフォーマンスは最高だったものの、再撮影の費用がかかり過ぎて実現しなかったロワーファネル向けの広告バリエーション。従来の制作予算では正当化できなかった特定のオーディエンスに合わせたキャンペーンです。

多くの場合、障壁はチャネルへの信頼性ではありません。制作コストの問題です。従来の動画制作では、放送品質のストリーミングTVスポット広告を完成させるまでに数か月の制作期間、数万ドルから数十万ドル規模の費用がかかります。しかも、これらすべてが1回のインプレッションを獲得する前に必要になります。こうした費用計算の結果から、「次のサイクルで取り組もう」という判断の方がこれまでは容易でした。

AI動画生成ツールは、まさにこの制約を変えるために作られています。Traditional MedicinalsがストリーミングTV広告を展開したいとGlobal Overviewに依頼した際、商品専用の既存の動画アセットはなく、迅速な対応が求められました。そこで当社はAmazon Adsクリエイティブエージェントを活用し、コンセプトから配信まで3週間で、完全にAI生成によるストリーミングTV広告を制作しました。このキャンペーンは、同時期に配信された従来の制作手法による同等のストリーミングTVキャンペーンと比較して、ブランド新規顧客による購入率が1.24倍高く、新規顧客獲得コストが1.14倍効率的になるという成果をもたらしました。1

これは、当社があらゆる規模や業種のブランドと交わしている対話の一例に過ぎません。問題は、単に「AIクリエイティブを使うべきかどうか」だけではありません。 「AIをどこで活用すべきか?」です。 以下に、最もよくお伝えしている5つの原則をご紹介します。

原則1: 導入前に適合性をはっきりさせる

AIクリエイティブを自社のツールキットのどこで活用するかを決める前に、使うべきではない箇所についてはっきりさせます。貴社ブランドのヒーロー動画。ショッピングイベント用のクリエイティブや新商品発売用のクリエイティブ。今後数年間にわたり、貴社のブランドボイスを決めるキャンペーン。こうした機会には、クリエイティブチームとディレクターの総力をかけ、制作への十分な投資が必要です。そうした瞬間が持つ感情的な重みには、あらゆる段階において人の技が求められます。

AIが適さない箇所を明確にすると、AIが真に力を発揮できる箇所が明らかになってきます。

原則2: 予算の枠ではなく、クリエイティブの目的に合ったツールを選択する

AI生成動画には、そのためにその動画が作られた特定の用途があります。最も大きな成果を上げているブランドは、場当たり的にではなく、明確な目的を持ってAI生成動画を活用しています。

最も分かりやすい適用例の一つは、フォーマットのバリエーションです。30秒のスポット広告を15秒に短縮するロワーファネル広告掲載枠用の調整、新しい広告タイプに合わせるための再フォーマット、異なるオーディエンスに合わせたつかみの調整などの適合作業は、戦略的なインパクトに対して制作コストが高くつくため、実施されないことも少なくありません。AIツールは、こうした摩擦の軽減に役立ちます。

新しい広告フォーマットのテストも適用例の一つです。ブランドがストリーミングTVやオンライン動画の活用拡大に踏み切れない場合が多い理由は、これまで新規アセットのテストにもフル制作と同等の投資が必要だったためです。AI生成クリエイティブにより参入コストが下がるため、ブランドは本格的な制作投資が必要かどうかを判断する前に、実際のパフォーマンス指標をテストして確認することができます。

原則3: オーディエンスの精度でブリーフを導く


曖昧なインプットからは、曖昧なクリエイティブしか生まれません。ターゲットとするオーディエンス、その行動、状況、動機を具体的に定義すればするほど、チームはクリエイティブエージェントなどのツールを活用して、それらのインサイトをビジュアルストーリーテリングに効果的に落とし込むことができます。

ブランドとの取り組みを通じて分かった点は、AI生成クリエイティブが最も高いパフォーマンスを発揮するキャンペーンは、オーディエンスブリーフがクリエイティブブリーフと同程度に作り込まれていることです。具体性こそが、パフォーマンスを高めるインプットです。

原則4: チームが主導権を取り続ける

AI生成クリエイティブは、戦略的思考とクリエイティブ判断をプロセスの中心へと押し上げます。チームのスキルは、プロンプト設計、ディレクション、ブランドガイドラインの設定といった上流工程に集中するようになります。その結果、従来は制作作業に費やしていた期間に、クリエイティブ実行チームがディレクターとして主導権を持てるようになります。

Traditional Medicinalsのキャンペーンでは、1人のストラテジスト兼デザイナーがクリエイティブエージェントのワークフロー全体を管理し、単一の効率化されたプロセスで放送品質のアセットを制作しました。

原則5: AIクリエイティブにも他のアセットと同じパフォーマンス基準を適用する

AIクリエイティブだからといって評価を甘くしてはいけません。動画再生完了率(VCR)、購入率、ブランド新規顧客へのインパクト、下流のコンバージョンなど、他のクリエイティブに適用する際と同じ基準で評価する必要があります。スピードとコストのメリットは、クリエイティブがパフォーマンスを発揮してこそ意味があります。

うまくいかなかった場合でも、わずかなコストで貴重な知見を得たことになります。成果が出れば、フォーマットの追加、セグメントの拡大、テストの継続など、さらに前進する根拠が得られます。

全体をまとめる考え方

AI生成動画は、戦略的なクリエイティブリソースです。適切なタイミングで、適切な主導権の下でクリエイティブ制作が行われ、適切なベンチマークに基づいて意図的に活用するときに、その真価を発揮します。

今こうした習慣を築いているブランドは、動画を希少なリソースとして扱い続けているブランドよりも速く、クリエイティブの活用領域を広げることができます。制作上の障壁は低くなりつつあります。そして、その代わりになるものは、AIをツールキットのどこに位置付けるかを見極める、戦略的な明確さです。

Amazon Adsパートナーとの提携は、お客様が存在するあらゆる場所でビジネスの成長に役立つ可能性があります。Global Overviewについての詳細はこちら

出典

1 パートナー提供データ、2026年。

著者について

Claire Magruder氏は、GO Studio(Global Overviewの社内クリエイティブチーム)担当ディレクターを務め、動画、コンテンツ、AI支援ワークフローにわたる代理店のクリエイティブ制作機能を統括しています。彼女は、GOにおけるAmazon Adsクリエイティブエージェントの導入の最前線で働き、従来の制作スケジュールよりも迅速かつ効率的に放送品質のストリーミングTV広告を制作するよう、チームの取り組みを初期段階から導いてきました。彼女の仕事はクリエイティブ戦略、ブランド基準、そして新しいAIツールが交差する領域に位置しています。そのため、実務において、人間とAIの有意義なコラボレーションとはどのようなものかを、実務家として発信できる立場にいます。