専門家からのアドバイス
広告主様は、Amazon Adsソリューションをクリエイティブテストエンジンとしてどのように活用できるか

2026年6月12日 | フライホイール、リテールアクセラレーション担当シニアディレクター、Bernie Che氏
パートナーの視点
パートナーの視点
「パートナーの視点」は、Amazon Adsパートナーネットワークに参加している広告リーダーたちが、クライアントの成果につながる戦略やヒントについて実地で得たインサイトをお届けするシリーズです。今回は、フライホイールのリテールアクセラレーション担当シニアディレクターのBernie Che氏が、ファネル全体のパフォーマンス向上に役立つ常時掲載クリエイティブ学習システムの構築に向けた5つのアプローチを紹介します。
多くの広告主様は今もなお、これまでと変わらない方法でクリエイティブに関する意思決定を行っています。定性的な評価、仮定に基づいたクリエイティブブリーフ、小規模なテストグループ、キャンペーン終了後の総括を通してです。こうしたアプローチでは何が起きたかを把握できますが、オーディエンスの行動に影響を与えた要因や、クリエイティブに関する意思決定がカスタマージャーニー全体にどう波及するかについては、ほとんど説明できません。
Amazon Adsは、構造的に別のものを提供します。ショッピングシグナルとストリーミングシグナルに対してクリエイティブをテストでき、関連性の高いオーディエンスにどのメッセージが響くかを把握できます。
その結果、注目度指標に留まらないクリエイティブテストが可能になります。広告との接触を検討や購入といった購買行動の成果と結び付けることにより、すべてのテストで実際のビジネス効果が明らかになります。
フライホイールでは、フルファネル戦略の一環としてクリエイティブテストに取り組んでいます。Amazon Marketing Cloud(AMC)と独自の効果測定フレームワークを活用して、カスタマージャーニー全体にわたるインパクトを効果測定し、アッパーファネルのクリエイティブが認知、検討、購入といった成果にどのようにつながるかを把握できるよう支援します。大手ブランドとの当社の取り組みを基に、ファネル全体のパフォーマンス向上に役立つ常時掲載クリエイティブ学習システムを構築するための5つのヒントをまとめました。
1.質問から始める
効果的なクリエイティブテストは、消費者行動に基づいた明晰な仮説から始まります。フライホイールのアプローチの特長は、ファネル全体を同時に分析し、Amazonのリテールシグナルを活用してクライアントの複雑なビジネス課題の解決を支援する点にあります。ストリーミングのオーディエンスはブランドに接触した後、ブランド検索に現れていますか。 消費者はマルチパックを閲覧しますが、購入するものは単品ですか。 ブランド新規顧客は商品詳細ページを閲覧していますが、コンバージョンに至っていませんか。
多くの広告ソリューションでは、クリエイティブテストによってお客様が何に反応したかは分かりますが、得られる情報はそこまでです。AMCを使用すると、オーディエンスがカスタマージャーニーの全過程をどのように進んでいくかを把握できます。
フライホイールでは、現在のファネルの健全性をマッピングすることから始めます。オーディエンスはどこまで進んでいますか。 オーディエンスはどこで離脱していますか。 クリエイティブどのポイントでオーディエンスを促していますか。 次に、クリエイティブの意思決定がファネルの動きにどう影響するかを測定するテストを設計します。このクリエイティブは、その後のコンバージョンにつながるブランド新規顧客の認知を促進していますか。 クリエイティブは、既存のオーディエンスによるリピート購入の増加と関連していますか。
開始前に、ファネル視点に紐付く成功指標(コンバージョン率、商品詳細ページ閲覧率、注文あたりの購入点数、ブランド新規顧客の割合、ブランド検索アクティビティ、30~60日間のリピート行動など)を事前に整理しておくことが重要です。次に、より広いファネル全体の視点で考えてみましょう。このクリエイティブは、購入という成果に関連性の高いオーディエンスをつなげているでしょうか。
2.調整要素を限定する
クリーンなテスト設計は、特にフルファネルで測定する場合に、優れた意思決定につながります。広告主様は、他の要素を一定に保ちながら、一度に1つか2つのクリエイティブの調整要素を検証する必要があります。見出し、画像、オファー、オーディエンスをすべて同時に変更すると、結果の解釈が難しくなります。より効果的なアプローチは、商品、オーディエンス、予算、ランディング体験を変えずに、オープニングの動画フレームやメリットの説明など、1つの要素だけを変更することです。
広告主様は、在庫切れ、販売数量の限定、値引きプロモーション、セールバッジなど、結果を歪める可能性のある販売上の変動要因にも注意する必要があります。こうした変動要因が影響する場合、最もパフォーマンスの高いアセットが必ずしも最も優れたクリエイティブとは限りません。在庫が豊富なときは高いパフォーマンスを発揮するものの、在庫切れ時にはパフォーマンスが落ちるクリエイティブと、どのようなコンディションでも安定したパフォーマンスを維持するクリエイティブとでは、消費者の共感度について全く異なる情報が得られます。
3.知見に合わせてフォーマットを選択する
テストのフォーマットは、知見を得たいシグナルに合わせて選ぶ必要があります。ここで、フルファネルアプローチが最大のチャンスをもたらします。
ロワーファネルと検索では、スポンサープロダクト広告がヒーロー画像、パックサイズ、バリエーション戦略に関するクリエイティブテストを通じて、購入に近い段階での商品ごとのパフォーマンスを広告主様が把握する上で役立ちます。スポンサーブランド広告とスポンサーブランド動画広告を使用すると、関連性の高いオーディエンスがカテゴリーを閲覧しているところで、見出し、バリュープロポジション、短い形式のストーリーテリングをテストできます。
アッパーファネルと認知獲得では、Amazon DSPとPrime Video広告が、貴社ブランドのことをよく知らないオーディエンスが検索行動を起こす段階に入る前に、ブランドがより幅広いストーリーテリングやメッセージングの効果を評価する上で役立ちます。ダイナミックTV広告クリエイティブはさらに一歩進み、広告主様がAmazonのストリーミングTVインベントリ全体で、さまざまなオーディエンス、商品、またはタイミングに合わせて、複数のクリエイティブバリエーションを生成できるようにします。つまり、消費者の意図シグナルとメッセージの整合性をテストできます。
重要なのは、アッパーファネルを単独で扱わないことです。ストリーミング広告クリエイティブは強いエンゲージメントを生み出すことはあっても、消費者をブランド検索や商品詳細ページへと誘導できないことがあります。一方で、エンゲージメント面でパフォーマンスが低いように見えるディスプレイ広告クリエイティブでも、購買意欲の高いトラフィックを商品詳細ページに誘導し、高いコンバージョン率を達成していれば、十分に最適化されていると言えます。重要なのは、全体的なパスを測定し、クリエイティブがコンバージョンに至るファネル全体を通じて消費者を動かしているかどうかを把握することです。
フライホイールは、Amazon Marketing Cloudを活用してこれらの点をつなぎます。この可視性により、各クリエイティブのタッチポイントが次のステージと最終的なビジネス成果にどのように影響を及ぼすかを正確に把握しながら、最適化を図ることができます。生成AI広告ソリューション(Amazon AdsクリエイティブエージェントやダイナミックTVクリエイティブなど)は、制作の手間を省き、テスト用バリエーションの作成を容易にすることで、ブランドが迅速に動けるよう支援します。
4.重要指標を測定する
フライホイールのフルファネル効果測定手法は、効果測定を3つの層に体系化し、各層を貴社のファネル全体での健全性に結び付けます。
1層目として、即時反応を測定します。キャンペーン実施期間中、どのクリエイティブがより強いエンゲージメント、商品詳細ページビュー、ブランド検索アクティビティ、コンバージョンをもたらしたでしょうか。
2層目として、オーディエンスのエンゲージメントを評価します。どのクリエイティブのバリエーションが、より多くのブランド新規顧客の獲得、注文あたりの購入点数の増加、より強いバスケット構築パターン、または高価値商品への誘導につながりましたか。 2つのクリエイティブが同じコンバージョン数に至ったとしても、一方は購入数が多く、リピート率が高く、生涯価値の高い消費者を獲得できる場合があります。
3層目として、消費者の長期的な価値を評価します。広告に接触した消費者のうち、再購入した消費者、30~60日以内にリピートした消費者、またはより強いロイヤルティシグナルを示した消費者はどのくらいいたでしょうか。
この3つの層は、全体的な「消費者収益率」(RoC)に直接影響します。AMCを基盤とし、Amazonのフルファネル効果測定とブランド指標を活用したフライホイール独自のRoCダッシュボードは、広告主様がファネルの健全性をより深く把握できるよう支援します。オーディエンスがファネルの各段階(見込み、認知、興味・関心、購入、ロイヤルティ)をスムーズに進んでいる箇所と、離脱している箇所を可視化します。Amazonのリテールシグナルに基づくクリエイティブテストのインサイトをRoC分析と組み合わせることで、クリエイティブの意思決定がファネルの動きにどのように影響し貢献しているか、最も緊急に最適化が必要な箇所はどこかを正確に把握できます。
実際に、このアプローチは測定可能な成果をもたらします。当社は、大手家庭用エアケアブランドと提携しました。同ブランドはAmazonの閲覧シグナル、ストリーミングシグナル、ショッピングシグナルを活用して、商品を特定の季節のシーンに合わせたモジュール式クリエイティブシステムを構築しました。また、Amazon AdsのAI搭載クリエイティブツールを使用して、スポンサーブランド広告、ディスプレイ広告、Prime Video全体でクリエイティブのバリエーションを大幅に拡大しました。結果は以下のとおりです。 グランスビュー数は26%増(目標は10%)、ブランド新規顧客は19%増(目標は5%)、ROASは32%増(目標は5%)を達成しました。各指標はファネルの異なる層に対応しており、1回のクリエイティブテストをフルファネル最適化へと変えました。1
クリエイティブアセットのテストとファネルの最適化には、違いがあります。フライホイールのアプローチでは、Amazon Marketing Cloudを活用してクリエイティブの効果を測定し、そのインサイトをブランドの包括的なRoCに適用することで、クリエイティブについての意思決定がカスタマージャーニーや長期的な成果にどう影響するかを把握します。これらのパターンが明確になったら、ファネル全体でキャンペーンを開始します。広告接触、エンゲージメント、購入ステータスなどのシグナルをもとにオーディエンスを作成し、関連性の高いオーディエンスを次のステージへ動かすクリエイティブについての知見を活用します。
5.学習ループを構築する
目標は、個々のクリエイティブテストをより広範なファネル戦略に結び付ける、繰り返し使用できるシステムを構築することです。各仮説、テスト構造、オーディエンス、指標、結果を記録し、その知見を次のブリーフとファネル分析に活かします。時間の経過とともに、これらの結果が将来のクリエイティブ制作や幅広いキャンペーン計画に活かされて行きます。仮定に頼ることなく、ブランドはクリエイティブに関する意思決定が全体的なRoCやファネル健全性にどのように影響するかを把握できるようになります。クリエイティブテストをAMCインサイトを活用したフルファネル最適化エンジンの一部として位置付け、RoCの観点から効果を測定することで、ブランドはより迅速に知見を得、よりスマートに活動し、長期的な顧客価値を高めることができます。
Amazon Adsパートナーとの提携は、お客様が存在するあらゆる場所でビジネスの成長に役立つ可能性があります。フライホイールの詳細はこちら。
出典
1 パートナー提供データ、2025年。
著者について
Bernie Che氏は、フライホイールのリテールアクセラレーション担当シニアディレクターとして、フライホイールのフルファネルリテールメディアパートナー各社との関係を統括しています。デジタルメディアとパフォーマンスマーケティングについての深い専門知識を持つBernie氏は、グローバルブランドが最新のオムニチャネル環境の複雑さを乗り越えられるよう支援し、統合されたデータ主導のソリューションを通じて成長を促進しています。Bernie氏は、2018年にフライホイールに加わって以来、プラットフォーム全体でのキャンペーン計画、最適化、効果測定の統合を主導し、お客様がどこで閲覧、購入するとしても、ブランドがお客様とつなげることができる環境づくりに取り組んでいます。