Amazon機械学習カンファレンスで科学者がどのようにつながりイノベーションを起こしたか

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毎年、Amazonの1,440人を超える科学者、エンジニア、プロダクトマネージャーが集まり、社内のAmazon機械学習カンファレンス(AMLC)で、エシカルAIから推奨モデルの癖まで、あらゆることについて話し合っています。
学術コミュニティ
Amazon Adsのシニア応用科学者であるNeeti Narayanは、「正式な学術会議のように感じます」と述べています。「論文、ポスター、基調講演はありますが、AMLCの違いはその参加者です。科学者だけではありません。あらゆる業種からエンジニア、プロダクトマネージャー、データサイエンティストが集まっています。本当に協調的な環境です」

Neeti Narayan、Amazon Adsのシニア応用科学者
Neetiは、ディープラーニングの博士号(バッファロー大学:ニューヨーク州立大学)を取得し、 大手テクノロジー企業で自然言語処理に3年間携わった後、Amazonに約4年間在籍しています。彼女の日常業務は、広告主様の需要をコンテキストに関連があるウェブページにマッピングするAI主導のソリューションを開発し、企業がAmazon Adsや商品レコメンデーションを通じてお客様にリーチする方法を最適化することです。舞台裏では、ウェブページのコンテキストと商品の関連性を理解できるよう大規模言語モデルをトレーニングして、非構造化テキストを実行可能なシグナルに変える必要があります。
このような理論と応用の組み合わせこそが、NeetiがAMLCのサポートに没頭するようになった理由です。彼女は論文を総括して出版し、生成AIを広告にどのように活用できるかについてのワークショップまで開催しました。「私は学術的著作を楽しんでいます」と彼女は言います。「研究論文を書き、それを幅広い分野の読者と共有し、フィードバックを得ることは、自分の研究を文書化するだけではなく、磨き上げることでもあります。そして、AMLCはそれを与えてくれます」
アイデアの共有
シニアリサーチサイエンティストのMartin Radfarにとっても、AMLCはエキサイティングです。MartinはAmazonに6年間在籍しています。最初はAlexa向けのAIに取り組み、その後、Amazon Adsに移って画像や動画の処理を研究しています。出版活動において多くの作品を発表しており、主要なAIカンファレンスで16の社外出版物を発表していますが、それでもAmazonの社内カンファレンスには価値を見出しています。

Martin Radfar、Amazon Adsのシニアリサーチサイエンティスト
「2024年、私の論文はカンファレンスでの口頭発表に選ばれました」とMartinは説明します。「わずか10パーセントしか選ばれないので、本当に光栄でした。その後、他のチームの人がやって来て、「あなたのモデルの一部を使わせてもらいたい」と言いました。 他のチームの仕事の進展に貢献できるなんて、とてもエキサイティングです。そして後になって分かったことですが、私の論文はカンファレンス全体で2番目に多くダウンロードされた論文でした」
Martinの研究は、広告の転換、つまりクリエイティブアセットをさまざまなプラットフォーム向けに自動的に変換することに重点を置いています。「各広告には、コンポーネント、商品、ロゴ、テキストが含まれています。プラットフォームが異なれば、必要なフォーマットも異なります」と彼は付け加えます。「私たちは、セグメント化、再配置、さらには新しい背景の生成さえできるシステムを構築しました。つまり、以前はデザインチーム全体のかかわりが必要だったことを、広告主様がワンクリックで実行できるようになったということです」
コラボレーションの文化
AMLCの魅力は、知的な部分もあれば、社会的な面もあります。Neetiの心に残ったものは、商品レビューに関する論文でした。「大規模言語モデルを使用して何千ものレビューの要約を生成する方法について、モデルが本番環境に入る前に見直しました」と彼女は回想します。「しばらくしてから、私たちはそれらのデータセットを自分たちのプロジェクトの1つで使用しました。そのコラボレーションが実現したことは、AMLCのおかげです」
Martinも似たような話をしています。彼のチームが、テキストを重ね合わせても安全な画像内の領域を検出するために開発したモデルが、別の科学者グループの目に留まり、彼らはそのモデルを独自のワークフローに組み込みました。「それにより扉が開きます」と彼は言います。「誰かに見てもらうまで、自分の仕事を幅広く適用できることに気付かないことがあります」
科学者への投資
Amazonは2013年からAMLCを開催しています。2024年には、918件の提出があり、89件が口頭発表に、190件がポスター発表に選ばれました。大きな数字ですが、その影響は「規模」より「つながり」に表れます。カンファレンス後のアンケートによると、出席者の89%がAmazonの科学コミュニティとのつながりを強く感じるようになったことがわかりました。これは、AMLCが10年以上にわたって育んできた科学文化の繁栄の表れです。
この一体感は、特にAmazonのような規模の企業では重要です。「日々、自分のチームや自分の締め切りに集中しています」とNeetiは言います。「しかし、AMLCは自分がもっと大きな何かの一部であることを思い出させてくれます。突然、AlexaやAWSの担当者の隣に座って、同じような問題にさまざまな角度から取り組んでいることに気づきます」
社外のカンファレンスとの比較は避けられず、意図的なものです。「社外の大規模な機械学習カンファレンスに参加したことがあります」とNeetiは続けます。「正直なところ、AMLCの論文の質は同等です。ここでの違いは、提示されたアイデアの即時適用も見ることができる点です。そして、これらのアイデアを自分自身の仕事に実装するサポートをしてくれる人に出会います」
Martinも同意しますが、この分野のペースが研究の共有方法を変化させていることにすぐに気付きました。「最近では、多くの大手テクノロジー企業が外部への出版を減らしています。データプライバシー、知的財産について考える必要があり、物事の進捗を遅らせます。しかし、AMLCでは、仕事をすばやく共有して、コミュニティにプラスの影響を与えることができます」
Amazonにおける科学の未来に影響を与える
AMLCは、この分野がどこに向かっているのかを示すバロメーターでもあります。昨年の基調講演には、スタンフォード大学の教授でAIのパイオニアでもあるAndrew Ng氏が、Martinが取り上げたトピックであるマルチエージェントシステムについて話しました。「マルチエージェントAIについて話したばかりです」と彼は笑います。それから、Andrew Ng氏はステージに上がり、「それこそがAI研究の未来なのです。それは素晴らしい瞬間でした」
Neetiにとって、インスピレーションは純粋に発見の速さにあります。「生成AIは急速に進歩しているので、ついていくことは大変です」と彼女は言います。「チームは毎週新しいツールを発表しています。広告、キャンペーンの作成方法、Amazonの生成AI搭載ショッピングアシスタントであるRufusでの商品の表示方法について、より大きく考えるよう促されます。AMLCでこれらのアイデアを見て、未来を想像し始めます」
どちらの科学者も、大規模なモデルのトレーニング、パラメーターの微調整、うまくいくまで繰り返すことは骨の折れる作業だとしきりに説明していますが、AMLCはこの作業に幅広いコンテキストを与えるうえで役立ちます。「プロジェクトには何か月も費やします」とNeetiは言います。「それを何千人もの同僚に提示し、彼らから質問やアイデアを得ると、活力が増します」
Martinも同意します。「科学者として、私たちは常に好奇心とインパクトのバランスを取っています。AMLCはこれら2つが出会う場所です」
広告の障壁を打ち破る
「私たちはイノベーションの最前線にいます」とAlexisは言います。Alexisは、従来の営業担当者ではなく、コンサルタントのチームの一員として、クライアントが現実世界のビジネス上の問題を解決できるよう支援することができます。「クライアントが課題を持って私たちのところに来ると、私たちはその問題から逆算して創造的な解決策を見つけます。」
しかし、単なる技術的な問題を解決するだけではありません。Alexisは、信頼を得て責任を負うというAmazonの文化の重要性を強調します。「自分が適切だと思う方法で業務を遂行ことができます」と彼女は言います。「私の上司は細かく管理しませんが、必要なときにはいつもそばにいてくれます。この信頼のおかげで、私は創造的に考え、すばやく行動することを学びました。」
彼女の革新的なアプローチは高く評価されています。彼女のキャンペーンの1つは最近、広告主のキャンペーンにおいて画期的な創造性を発揮する取り組みとして評価され、WPPグローバル表彰賞を受賞しています。