キャンペーン指標: 成功のためにこの指標だけに依存すべきではない理由

2021年10月1日更新

Amazonの広告主様は、広告費売上高比率(ACOS)と呼ばれる指標を使用してキャンペーンの成功を判断しています。その理由は簡単です: ACOSは広告支出額を売上の割合で表します。たとえば、広告に5ドル費やし、売上高が25ドルの場合、ACOSは20%になります。この指標は広告の収益性を簡潔に示しています。ACOSが低いほど販売促進にかかる費用は安く、ACOSが高いほど販売促進の費用は高額になります。

ACOSは間違いなく便利ですが、広告主様は全体像を考慮に入れてこれを評価する必要があります。ACOSは、キャンペーンが特定の期間内にどれだけ効率的に売上を生み出したかを示す明確なシグナルです。また、ACOSは支出を停止、開始、または継続すべき場面を判断するのに役立ちます。ただし、ACOSを単独で使用すると広告全体の影響を理解する上で誤解を招く恐れがあります。

より包括的なアプローチを検討すべき4つの理由をご覧ください。

1.ACOSは、広告によるすべての影響を測定するわけではない

広告はビジネスにとって重要な成果を生み出しますが、それらはACOSではキャプチャされません。広告費売上高比率の指標は、広告キャンペーンが即時売上を創出する際の費用対効果をすばやく評価するのに役立ちます。ただし、即時売上と費用対効果(ROI)の数値が高いことだけが成功の指標となるわけではありません。

たとえば、ACOSが高いキャンペーンは、ACOSが低いキャンペーンと比較して、マーケティングのハイファネルでアクションを促進する(新しい顧客、登録、商品詳細ページの閲覧などを生成する)のに適している場合があります。これらの結果は、認知度を高め、検討を促し、最終的にはビジネスがより長期的な成功を収めるのに役立ちます。ACOSは貴重な指標ですが、成功を表す唯一の指標とするなら、全体像を見逃してしまうことになりかねません。

推奨事項 さまざまな種類のキャンペーンに対して明確な目標と注目すべきパフォーマンス指標(KPI)を設定し、各目標においてそれぞれ結果を追跡します。例:

  • 新商品の発売にあたり推進力を必要としていますか? 全体的な売上に注目することをお勧めします。
  • 顧客ロイヤルティの促進に努めていますか? サブスクリプション件数の確認をお勧めします。
  • 商品ページのコンバージョン率は高くても、トラフィック量が不足していますか? クリックや商品詳細ページの閲覧数をKPIとして使用することをお勧めします。

2.ACOSだけでパフォーマンスを比較すると、キャンペーンの違いを示す重要な情報を度外視することになる

ACOSだけでキャンペーンを比較すると、他はすべてが平等であると仮定することになります。しかし実際には、キャンペーンの結果はいくつもの要因が関係しています。広告目標(顧客獲得と保持率)、商品のライフサイクルステージ(新発売と成長)、キーワードの競争力、商品価格、広告クリエイティブさえもキャンペーンによって異なり、ACOSに異なる影響を与えます。さらに、ACOSと売上の適切なトレードオフはキャンペーンの目標に応じて変化します。

たとえば、リマーケティングキャンペーン、ベストセラー商品、ブランドキーワードではACOSが低くなりますが、プロスペクティングキャンペーン、新商品、競争力の高いキーワードではACOSが高くなります。1 ACOSが低いという理由だけで、あるキャンペーンが他のキャンペーンよりも優れたパフォーマンスを発揮すると結論づけると、ACOSに直接影響を与えた戦略的および戦術的な違いを度外視することになります。

推奨事項: ACOSで折り合いをつけるタイミングを決めるには目標に焦点を当てることが役立ちます。

認知度、またはノーブランド検索キャンペーンを設定して、新規顧客へのリーチ、新商品の立ち上げ、市場シェアの獲得など、より積極的な成長をサポートする場合は、一時的に広告費売上高比率を多少犠牲にすることを検討してください。たとえば、新規顧客の場合、既存の顧客(またはすでにブランドに精通している顧客)よりも意思決定経路が長くなったり、リーチするために多くの投資が必要となったりする場合があります。こうしたタイプのキャンペーンではACOSが高くなる可能性がありますが、前年比で売上を増加させる場合には役立つことが多いという面もあります。

3.ACOSが高いキャンペーンは、その後に続くACOSが低いキャンペーンをサポートでき、より良い結果を期待できる

異なるキャンペーンが互いに補うことでより良い結果を期待できます。また、1つのキャンペーンのアクティビティが別のキャンペーンのACOSに影響を与える場合もあります。たとえば、次のシナリオを見てみましょう。ここでは、ブランドで2つのキャンペーンが同時に実施されているとします。

シナリオ1の例をご覧ください。

  • 売上にはあまりつながらないものの、新しいブランドのキーワード検索は誘導しているディスプレイ広告キャンペーン(ACOSが高い)
  • こうしたキーワードをターゲットにし、Amazonでの売上アップを実現しているスポンサー広告キャンペーン(ACOSが低い)

シナリオ2の例をご覧ください。

  • Amazonでの売上は少ないものの、商品詳細ページへの訪問数は多いスポンサー広告キャンペーン(ACOSが高い)
  • お客様が購入を完了するように誘導するディスプレイ広告リマーケティングキャンペーン(ACOSが低い)

たとえば、SeikoRhodiusWaterWipesなどのブランドは、同様の戦略を取り入れることにより、好調な結果を出すことに成功しています。こうした企業は、スポンサー広告キャンペーンを際立たせるためにディスプレイ広告を利用し、広告目標をACOS以上に拡大しました。すると、キャンペーン期間中のアーンドメディア数とブランドのキーワード検索数が2倍以上に上昇しました。そのうち2つのケースでは全体的なACOSも引き下げたほどです。2

推奨事項スポンサー広告とディスプレイ広告を並行して使用し、カスタマージャーニーのさまざまな段階で購入者にリーチします。

特定のキャンペーンのACOSは、それぞれの戦略によって増加または減少する可能性がありますが、これらを組み合わせることで、利用可能な広告レバー(キーワードやオーディエンスなど)と、お客様が時間を過ごすあらゆる場所で対応できるショッピング体験の範囲を拡大することができます。スポンサー広告とディスプレイ広告の連携について詳しくは、こちらの投稿をご覧ください。

4.ACOSは収穫逓減の影響を受ける

ACOSが主なKPIである場合でも、新しいキャンペーンのACOSと既存のキャンペーンのACOSを比較してしまうと、誤解を招くことになります。収穫逓減の法則では、投資する資金を増やすほど、徐々に投資に対するリターンが低下すると言われています。ただし、その時点に達したからといって必ずしも投資を停止すべきであるという意味ではありません。利益が依然としてポジティブで、他で達成できるよりも高い(機会費用)場合は、引き続き投資していくことが理にかなっていると言えるでしょう。

広告では、ACOSが以前のベンチマークを下回っていることに気付いたからといって、必ずしも広告に対する支出を停止する理由にはなりません。ここで考慮すべきことは、これまでのACOSがどうだったかではなく、あともう1ドルの支出で獲得できる最大の利益は何なのか、という点です。

たとえば、スポンサー広告キャンペーンに予算全体を費やした場合、いずれ検索用語が商品に一致するオーディエンスの上限に達する可能性があります。その場合、商品検索用語に頼らないオーディエンスにリーチする方が、費用対効果の高い戦略になる可能性があります。

最終的に、ACOSは意思決定の指針として役立つ多くの指標の1つにすぎません。効果的な広告には包括的なアプローチが欠かせません。複数のタッチポイントでオーディエンスにリーチする試みが必要です。また、複数のチャネルを通じて不足する部分を補充し合う戦略を用いることで、短期的および長期的な目標を達成するのに役立ちます。ビジネスの長期的な成長をサポートする他の指標と共にACOSを見ることで、キャンペーンの成功についてより完全な視点から評価できるようになります。

効果測定ソリューションの詳細や広告費を理解し最適化するのに役立つ情報については、お問い合わせください。

出典

1 リマーケティングキャンペーンとブランドのキーワードキャンペーンは、お客様がすでにその商品やブランドに関心を示しているため、ACOSが低くなる傾向があります。ベストセラーの商品は、過去の成功や市場検証の好影響により、ACOSが低くなる傾向があります。プロスペクティングキャンペーンや新商品は、推進力を得るためにより多くの投資が必要となるため、ACOSが高くなる傾向があります。競争力が高いキーワードは、需要の増加つまり広告費用が比較的高くなることを意味するため、ACOSが高くなる傾向があります。
2 ブランド検索や、Amazon内におけるアーンドメディアやオーガニックの露出度の変更に影響するさまざまなインプットも考慮してください。ブランド検索:キャンペーン前と比較した、キャンペーン期間中の広告対象ブランドまたは商品のインデックスされたキーワード検索の増減率(%)。アーンドメディア(オーガニックリテールインプレッション):キャンペーン前と比較した、キャンペーン期間中のブランド商品のオーガニックインプレッション数の増加率(%)。出典: Amazon Internalデータ