ポッドキャストがリスナーと深くつながる4つの理由

2021年6月21日 | 投稿者: Heather Eng氏、シニア編集リーダー

昨年はデジタル音声にとって挑戦の年になるはずでした。

2020年初め、業界はリスナーの減少に備えて身構えていました。結局のところ、多くの人々はいつ、ポッドキャストを聴いたり、音楽をストリーミング再生したりしているのでしょうか? それは、通勤をしているときです。ステイホームする人が増え、いわゆる「運転時間」(もしくは、多くの場合は「電車時間」)がなくなりました。

それでも、デジタル音声には持ち直す力があったことが証明されました。米国の成人がデジタル音声を聴くのに費やした時間は、2020年には前年比8.3%増加しました。1フランスから英国、ドイツまで、世界中のお客様が、ポッドキャスト、音楽、その他の音声コンテンツを前年と比べて多くストリーミング再生しています。2

「ポッドキャストを聴く人の数は世界中で急速に増加しています」と、Amazon Musicのポッドキャスト担当ディレクター、Kintan Brahmbhatt氏は述べています。「たとえば、米国では、毎週推定8,000万人のアメリカ人がポッドキャストを聴いています。」3

デジタル音声は生活に浸透しています。そしてポッドキャスティング事業の人から見ると、それにはもっともな理由があります。それは、 ポッドキャストには、オーディエンスの関心を引き、感情的なつながりを構築するユニークな傾向があるということです。

Amazon Adsの提供で開催された最近のAdweekの「At Home」イベントには、Brahmbhatt氏、政治評論家でありポッドキャスト司会者であるVan Jones氏、Wonderyの最高経営責任者Jen Sargent氏、「Even the Rich」の司会を務めるBrooke Siffrinn氏とAricia Skidmore-Williams氏など、ポッドキャスティング業界の独創的な考えの持ち主の一団が集結しました。 ここでは、ポッドキャストが私たちの視聴の仕方に変化をもたらしている強力なチャネルであるのはなぜか、ということについての彼らのインサイトの一部を紹介します。

左上から時計回りに: 「Even the Rich」の司会を務めるBrooke Siffrinn氏とAricia Skidmore-Williams氏、Wonderyの最高経営責任者Jen Sargent氏、政治評論家でありポッドキャスト司会者であるVan Jones氏、Amazon Musicのポッドキャスト担当ディレクターKintan Brahmbhatt氏

ポッドキャストは社会問題に関する対話をサポートできる

ポッドキャストは、その形式のおかげで、親しみやすい媒体です。ボリュームを上げた大画面で最も効果を発揮するテレビや映画とは違い、ポッドキャストでは、多くの場合、1人の人の声がリスナーの耳に入ってきます。

「トークラジオには独特の雰囲気や調子があります。ケーブルテレビもそうです。しかし、ポッドキャスティングは、いまだに無垢な感じがします」とJones氏は言います。「いまも素朴で実直な感じがするのです。だから、ポッドキャストにはさまざまなタイプの会話をサポートする機会があると思います。」

Jones氏にとって、それはこの媒体を使って大量投獄や有権者へのアウトリーチなどの多岐にわたる社会問題に光を当てることを意味します。今日の世界では、多くの問題が二極化されています。しかし、Jones氏は、ポッドキャストの親しみやすさを、対話を生み出す手段、小さなコミュニティの中で人々が対話を始める手段として見ています。

「お互いの真実のことで争う合うのではなく、話し合って、お互いの気持ちを理解する努力をしましょう」とJones氏は言います。「すべての人が同じことを事実として認識することになるコンセンサス社会の時代は終わったと思います。それでも、それらの事実についての互いの気持ちに共感することはできます。」

「Even the Rich」の共同司会者であるSiffrinn氏とSkidmore-Williams氏は、彼らのポッドキャストが同様に進化するのを見てきました。彼らのシリーズは、Jay-Zとビヨンセからマードック家まで、有名人の生活に着目するものです。

「以前は、王室についてや、彼らがどのくらいのお金を持っていて、結婚式やヨットにいくら費やしているかについて話していました」とSiffrinn氏は言います。「時を経て、私たちは女性たちを応援するようになりました。現在、私たちの番組はほとんどいつも、物語の中の強い女性たち、女性たちに対する共感、そしてタブロイド紙での女性たちの扱いが男性の扱いといかに大きく異なっているかについて扱っています。」

リスナーの反応は好意的です。リスナーはポッドキャストを聴いているときのことを、友達と打ち解けた話をしているときのようだと言っています。

quoteUpセレブの人間味のある面を引き出しているので、共感を呼んでいるのです。セレブのストーリーを、彼らが私たちの友達であるかのように紹介しています。quoteDown
– Brooke Siffrinn氏、「Even the Rich」の司会者

ポッドキャストは長期的にリスナーの興味・関心を捉えるように設計されている

他のメディアとは異なり、ポッドキャストを聴くにはかなりの時間を費やす必要があります。

「私たちは人々から時間を頂いています。それは1分や2分ではありません」と、個性的な主人公を主体としたストーリーテリングを特色とするポッドキャストネットワーク、WonderyのCEOであるSargent氏は述べています。「普通は、30分、40分、60分になります。ストーリーは本当に共感を呼ぶものである必要があります。」

その時間にわたってリスナーの関心を引き付けておくために、Wonderyではお客様中心のアプローチでストーリーを作成しています。

「AmazonとAmazon Musicに参加することに関して、Wonderyの私たちが最も期待の目を向けていることの1つは、Amazonが世界で最もお客様中心の企業の1つであるということです。そして、私たちはリスナーを第一にすることに真剣に努めています」とSargent氏は言います。「ストーリーを伝えることについて考えるときは必ず、『なぜか?』の問い掛けをします。 リスナーが関心を持つのはなぜか? これがリスナーに影響を与えるのはなぜか? リスナーがすでに聴いているポッドキャストを聴くのをやめて、この番組を聴こうとするのはなぜか?を問うのです。」

どのポッドキャストにゴーサインを出すかを検討する際、Sargent氏とWonderyチームは、トピックに文化的会話を促進する可能性があるかどうかも評価します。さらに、お客様の立場に立ってその声を聞き、お客様を引き込むための複数の入り口点があるストーリーを作成することにも努めています。

ポッドキャストはリスナーが世界を新たな視点から見るうえで役立つ

Wonderyの最も有名なポッドキャストの1つは「Dr.Death」です。 医療ジャーナリストのLaura Beil氏がレポーターと司会を務めるこのシリーズでは、ダラスを拠点とする神経外科医Christopher Duntsch氏と彼が治療した患者の話が語られます。

「『Dr. Death』が共感を呼んだ要因は、行き過ぎた医師についてのストーリーだけではありませんでした」とSargent氏は述べています。「人々に伝わったのは、だれもがいつかは患者になる、そしてこれが私たち皆が世話になる病院システムなのだ、という事実でした。『Dr. Death』の事例では、この医師は医大から研修期間、最初の病院、2番目の病院にいたるまでの過程のあらゆる段階で見過ごされたのです。このポッドキャストが伝えていることは、常にセカンドオピニオンを得なさいということです。」

「Dr. Death」の効果は、聞き続ける価値のある、ストーリー以上のものでした。リスナーの人生にも関係する医療過誤のリスクという実際の問題が強調されたことで、より深いレベルで人々の心を捉えました。

ポッドキャストはストーリーテリングに対する人の本質的ニーズを活用する

Wonderyチームは、彼らのストーリーには持続力があってリスナーとの人間関係を育む、ということをよく耳にしていました。チームは、ポッドキャストの音声広告をリスナーがどのように処理しているのかを、動画広告と比較して調べることに興味があったため、MindshareのNeuroLaBと提携することにしました。その結果として行われた「Your brain on podcasts」と題する研究調査では、ポッドキャストの広告へのリスナーのつながりは、ソーシャルメディアの動画広告へのつながりや感情的な反応より強い、ということがわかりました。4

「リスナーは、視覚的なストーリーテリングよりも音声の広告のほうをよりよく信頼し、記憶し、それにつながっていました」とSargent氏は言います。「ストーリーテリングに関しては非常に特別で深遠な何かがあるということです。それは意味を伝え、つながりを生み、人々に記憶させるとても強力なメカニズムです。」

これは 「音声のストーリーテリング、つまり口頭の物語りが、コミュニケーションの最も古い形態となっている」ことの1つの理由である、とJones氏は言います。

そして、そのような深くて本質的な人の交流に根ざしたメディアの形態は、必ずオーディエンスとのつながりを生み出します。

音声広告音声マーケティングWondery、およびその他のブランドストーリーテリングの機会についての詳細をご覧ください。

1「The impressive resilience of digital audio」、eMarketer、2021年。
2 Global Media Intelligence 2020: フランス、eMarketer、2020年、「How the pandemic affected our UK digital audio listener forecast」、eMarketer、2021年、Global Media Intelligence 2020: ドイツ、eMarketer、2020年。
3「The Infinite Dial 2021」、Edison ResearchとTriton Digital、2021年。
4「Your Brain on Podcasts」 Mindshare NeurolabとWondery、2019年。