ブランドが一般向けのマーケティングメッセージを再考すべき理由

2021年5月21日 | Brendan Flaherty、コピーライター

Helen Lin氏は感謝と善意の力を信じており、その成功の多くが他の人たちのおかげであると考えています。「成功は成功につながります」とLin氏は話します。「共に成功するということを理解してようやく、自然と成功できるようになりました。他の人を強めれば、影響力のある人々に囲まれるでしょう。これにより、今度は自分が成功しやすくなります」

この信念は、ロサンゼルスのSaatchi & Saatchiのアカウントチームから始まった、同氏のデジタルメディアにおけるキャリアを形成するのに役立っています。そこでLin氏は大手自動車ブランドがディーラー向けの広告キットをCD-ROMで準備するサポートをしました。現在は、Publicis Groupeで最高デジタル責任者を務めています。これまでに、同氏は多くの賞を受賞しています。なかでも、ADCOLORの2019 Legend Awardは、「他人と違うことを恐れず、業界の突出したリーダーとして輝かしい行動を取る先駆者に贈られる」賞です。

同氏のキャリアパスにおける重要な要素は、長い間、メンターシップ、スポンサーシップ、多様性、公平性、インクルージョンに対する取り組みとなっていました。「世論の高まりに貢献し、インクルーシビティという包括的な目標に向かって取り組む」ために、常に自分の役目を果たそうとしていると語っています。

以下の動画と質疑応答では、さらに多くの情報を共有しています。

ブランドが確実にメッセージをインクルーシブなものにするには、どうすればよいですか?

広告とマーケティングがインクルーシブであることを確認するため、もっと多くのことができます。米国国勢調査のデータによると、2044年までに多文化の人口が過半数になり、20歳未満の人口を見れば、多文化への移行はすでに起こっています。

まず第一にすべきことは、意識の切り替えです。多文化のマーケティングのみについて考慮し、特定の多文化のオーディエンスに働きかけることから、すべての広告で多文化の世界における多様性を表現する必要性を認識するよう変化しなければなりません。

また、ブランド体験もメッセージと一致させる必要があります。製品デザイン、流通、アクセシビリティにおいて、ブランドが決めたことを実行に移さない場合、消費者はマーケティング対象となったタイミングで気付いてしまいます。

この1年間、さまざまな変化が起こりました。一部のブランドはどのような方法で、お客様が直面している事態に対応しているのでしょうか?

小売業、QSR(クイックサーブレストラン)、食料品、自動車、さらにはCPGやエンターテインメントなどの独自の消費者直接取引(D2C)チャネルを持つことが一般的に知られていない業界でさえ、特にこの困難な時期に、本当の意味で人々に配慮したサービスを提供できるよう見事な変革を遂げたブランドがあります。最も成功している企業は、ソリューションとサービスを安全かつ便利に使用するのに役立つよう設計された新しいアクセスポイントを、お客様が認識できるよう徹底しています。これには、営業時間の調整や新しい配送システムなど、基本的な分野も含まれます。多くのブランドが、検索や地域に基づくメッセージを通じて、ニーズが発生している場所やタイミングでサービスを提供できるよう、オペレーショナルエクセレンスを確立してきました。

これらの企業には、どのような共通点があるでしょうか? まず、最も成功している企業は、オムニチャネルマーケティング体験をすばやく見直しました。提供できるサービスや求められるサービスを評価しました。つまり、自社の製品やサービスを24時間年中無休で利用できるようサポートするデジタルチャネルと非接触チャネルです。さらに、パンデミック中のニーズが月単位や週単位で発展してきたため、関連性を維持するために商品も展開させました。これらの取り組みを効果的に行い、進化したブランドは、ロイヤルティを獲得できています。

ブランドの発展能力と顧客ロイヤルティには、どのような関係性がありますか?

実際には、誰もが未だに事態の把握に努めている前例のない時期に、高い利便性のほか、日常的な問題や以前からの問題に対する新しい解決策が必要とされているのは事実です。サービスを提供して、自社のブランドや商品に体験を結びつけることができる企業は、単に自社製品を販売するだけでなく、ソリューションとしてパッケージ化できています。それは、信頼を勝ち得るだけでなく、困難な時期に不可欠なものとして、成功を収められる可能性が高い企業です。これが、真の意味でブランドのロイヤルティを深めます。

quoteUpマーケティング担当者は、インクルーシビティの次時代へと先導する存在であるべきです。quoteDown
— Publicis Groupe、最高デジタル責任者、Helen Lin氏

チームでは、お客様の代理としてどのようにイノベーションを行っていますか?

すべての組織には、非常に有能で直感力を持つ人材がチームにいます。Publicisでは、組織内のすべてのメンバーが、クライアント一人ひとりのためのイノベーションの推進をサポートできるようにしたいと考えています。これに伴い、私たちはPublicis Digital Maturity Index(DMI)を開発しました。DMIとは、競合他社と比較して提携するブランドが分類される分野をコンテキスト化し、インサイトとテクノロジーを活用して、メディア、メッセージ、有料チャネルと自社チャネルの両方で、より関連性の高い情報を活用できるようサポートするツールです。

当社は、金融サービス、製薬、通信会社、自動車、小売業など、ほぼすべてのカテゴリーにわたり、戦術から予測に関するマーケティング能力について、100以上のブランドで評価を実施しました。通常、ブランドは3つのカテゴリーのいずれかに分類されます。1) データとテクノロジーを活用する一方、その応用はキャンペーンに重点を置いているブランド、2) コネクテッドコンシューマーのカスタマーエクスペリエンスに関する大きな目標を達成するために行動を起こしたブランド、3) すでにパーソナライゼーションの先駆者となる途上にあるブランド。このようなツールのメリットは、強みを把握して活用できることだけではありません。ギャップを特定して、計画表をまとめることで、チームはイノベーションの新しい機会を発見できます。

広告の現状を取り巻く大きな転換が、永続的なものであるのはなぜですか?

デジタルへの移行は非常に重要であるため、最終的にデジタル広告はリーチとフリークエンシーの戦略としてではなく、実際にはマーケティング全体のコンテキストで考慮されると思います。消費者の購入過程に沿って進むようサポートする、重要で不可欠な統合ツールと見なされるようになります。

また、長い間使用してきた古いツールはもはや通用しないこともわかっています。サードパーティクッキーは廃止されつつあり、業界の大規模な破壊的イノベーションをもたらしています。オンラインショッピングが急激に発展して、消費者の期待により、ブランドは価値提案をより適切に設計することを余儀なくされています。

将来を見据えたブランドにとって、長期的な成功の鍵は何ですか?

自社でデザインする体験とイノベーションに、構想の段階からDEIを組み込むことで、公開する画像やコミュニケーションで世界の多様性を体現する以上のことをする必要があります。これには、アクセシブルなテクノロジーを導入することから、マイノリティのオーディエンスに役立つサービスを提供することまで、あらゆることが含まれます。マーケティング担当者は、インクルーシビティの次時代へと先導する存在であるべきです。