目的主導型の広告および関連性の重要性

2021年8月31日 | 投稿者: Brendan Flaherty、ライター、ブランドコンテンツ

これは「私の最高のアドバイス」というシリーズで、広告の専門家に、キャリアジャーニーで得た重要な知識、これまでに受けた最高のアドバイス、ブランドやビジネスの成長に役立つインサイトを教えてもらいます。

Kirk McDonald氏は、以前からコンテンツの持つ力に魅了されていました。キャリアの早い段階で、大小の多くの決定が、ニュース、雑誌記事、広告、およびそれに類するさまざまなものの影響を受けていることについて考え始めました。これらのトピックに対する知的好奇心を追求した結果、早くからさまざまなデジタル技術に親しんできました。

「どんな分野にも熱狂的な好奇心を持っているからこそ、他の人よりも上手になることができるのです」と、McDonald氏は言います。「今では誰もが尋ねます: あなたにはどのような特別な強み(superpower)がありますか? でも、そうした強みは生まれつき持っているものではありません。これまで最も多くの時間とリソースとエネルギーを投入してきたものであり、それがあなたの強みになるのです。」

McDonald氏は、コンテンツに関する専門知識を活かして、さまざまな役割を担ってきました。2020年9月にGroupM North AmericaのCEOに就任し、最近までWPPのグローバルデータ企業であるChoreographの初代CEOを務めていました。ワーナーメディアのXandrでは、CMOを経て、最高業務責任者(Chief Business Officer)を務めていました。

現在、McDonald氏は「広告を人々にとってより良いものにしたい」と考えています。 McDonald氏とそのチームは、クライアントや業界全体から聞こえてくる情報に細心の注意を払うことで、パターンや新たなトレンドを認識することができました。これらの情報は、GroupMの重要な優先事項の1つである、ブランドセーフティ、データ倫理、DEI、責任あるジャーナリズム、サステナビリティに焦点を当てた「責任ある投資」に反映されています。

「成長のためにお金や労力をかけることはできますが、昨年は、『良い成長』にはそれほど多くのエネルギーを必要としないことを実感しました。これは、Mindshare [GroupMのグローバル代理店の1社] が目的と意図のある成長について独自の方法で明確に示してくれたことです。」と、McDonald氏は語ります。

そのためにMcDonald氏は、「3つのC」と呼ぶ、コンテンツ、コンシューマー、それらの接続ポイントに焦点を合わせ続けています。

今まで受けた中で最高のビジネスアドバイスは何ですか?

私の答えは、何年も前に私の尊敬する上司が言っていたことです。 「部屋の中で一番賢い人になろうとしないこと。」 何度も耳にしたことのある言葉だと思いますが、これは文脈によっていくつかの違った意味に取れる場合があります。上司が言いたかったのは、「部屋の中で一番賢い人を好きな人はいない」ということでした。なぜなら、部屋の中で最も賢い人は、人の話を聞かないように他の人に思われるからです。これは、裏を返せば、もしあなたが部屋の中で一番賢い人だとしたら、それはおそらく間違った部屋にいるということです。それで、何かを学べる可能性のある人たちに囲まれていることが重要なのです。

このアドバイスは、私のキャリア面での転機となりました。その後、仲間や会話から、あるいは他の視点からのヒントを積極的に求めるようになりました。そして、その瞬間から現在に至るまで、これが私のキャリアの特徴であることを願っています。私は部屋の中で一番賢い人になりたくありません。私が本当に努力しているのは、仲間が本当にスマートであることを確認することです。決定は、その集合的な知恵で行われます。

今日のブランドにとって関連性がそれほど重要なのはなぜですか?

この10年間で、ブランドは、大規模なグループに対してだけでなく、特定のユニークなオーディエンスに対しても信頼性を高める必要があることに気付きました。それは、単純なことで明らかになります。 「いいね!」ボタンであり、カスタマイズされた商品の推奨です。Amazonは、そのお客様中心の体験の大きな部分を占めています。今日、消費者は非常に多くのカスタマイズされた体験をしています。それで、マーケティング担当者が関連性の高い情報を提供するためには、すべての広告メッセージと消費者とのすべてのタッチポイントにそれを適用する必要があります。

さらに現在では、ブランドはある時点における関連性について考える必要があります。お客様単位だけでなく、そのお客様が現在どこにいるのかを考えましょう。 どんなことが周りで起こっていますか? 加えて、社会的な認識を持ち、オーディエンスが他のどのコンテンツを見ているのかを理解します。

昨年は、多くのマーケティング担当者が通常の2020年春シーズンから夏にかけて実施する予定でクリエイティブなメッセージをパンデミックの数か月前に作成していました。しかし、3月初旬にそれらのメッセージはもはや関連性の高いものではないことに気付きました。

そして、不公平な事態が存在することを国全体が感じる結果になりました。しかも、存在しているだけでなく、実際に広範囲に影響を及ぼしています。1つには、George Floyd氏が殺害されたことがきっかけで、社会正義をめぐり多くの論争が生じ、皆がこれまでになかったような仕方で関わるようになりました。そして今では、多くのことが変化しました。

では、広告主は今何をすべきですか?

quoteUpお客様は、受け取っている他のコンテンツの影響を受けながら、ある時点の状況において行動していることを理解してください。quoteDown
– GroupM(北米)、CEO、Kirk McDonald氏

本当に機能するためには、適切なタイミングで、適切なオーディエンスに、適切な内容の広告を表示する必要があり、それはインサイトやテクノロジー、プログラマティックソフトウェアに大きく依存しています。マーケティング担当者は今、エンゲージメントを促して自社のストーリーに消費者が共感してもらえるように、そのレベルのアドレサビリティに完全に傾倒していると思います。

広告主はどのようにしてエンゲージメントを高めることができますか?

最近の消費者には、本当に魅力的なコンテンツの選択肢がほぼ無限にあります。ブランドとしては、消費者を情報攻めにし、強制的に割って入ろうとすべきではありません。万一そうすると、消費者は、 「このブランドから逃げ出す方法を見つけないと」と考えるでしょう。結果として、訴求の対象オーディエンスと敵対関係になってしまいます。

しかし、強力なインサイトがあれば、より関連性の高い情報を共有できるので、もっと興味深いコミュニケーションや、配慮あるエンゲージメントが可能になります。優れたブランドはそのことを行っています。素晴らしいショッピングサービスもそのことを行っています。優れたコンテンツサービスもそうです。こんなメッセージを伝えています: 「ほら、ここにあなたが見たいと思うもの、あなたにとって興味深いかもしれないものがあります。」 そして、ブランドにとっては、お客様とのタッチポイントに配慮し、自分たちの時間を大切にすることにもつながります。お客様に利便性を提供することで、お客様とのインタラクションが容易になります。利便性と使いやすさにより、特定のブランドや特定の商品への消費者のエンゲージメントが高くなります。

いろいろなストリーミングサービスがあるので、私は好きなコンテンツを、好きな時に、好きな場所で視聴できます。気になる曲や見たい映画は、いつでもポケットに入れて持ち歩いています。実際にこのような消費者の時間を勝ち取りたいのであれば、もっと努力する必要があります。

先ほど述べたように、単に「消費者に」というより、「ある時点での消費者に」関連性の高いもの、つまりコンテキストで関連性の高いことが必要なのです。そして、それを実現するために利用可能なすべてのツールを活用することを検討する必要があります。

どうすれば広告を人々にとってより良いものにすることができるでしょうか?

ご存知のように、私はパンデミックの最中にこの職務に就きました。私がこの機会に惹かれたのは、GroupMが自社の企業規模、スケール、そしてクリエイティブトランスフォーメーションカンパニーであるというWPPの大きなミッションを考慮して、広告をより良くする責任を負うべきだと考え、それを口にする必要性を感じていたからです。そして、その大きな部分は「責任あるメディア」という考え方でした。 また、昨年は、ブランドが表に出てきて、「当社はあなたを支持します」と本気で語ることの効果を実感しました。 それは、黙ってサポートすることとは違います。当社は積極的にサポートするつもりですし、ブランドがステップアップしてそれを効果的に実行するのも見てきました。それで、このような重要なコミュニケーションに加わることができる立場にあり、クライアントのためにそれを増幅させることに貢献し、適切な協力者を見つけるのをサポートするのは素晴らしいことです。当社がAmazon Advertisingで行っている仕事は、その優れた例です。そして当社は、既存のお客様または将来の潜在的なお客様のいずれかの関連性の高いオーディエンスに対して、一度に1つのクライアント、一度に1つのタッチポイントで実現できるようサポートすることに重点を置いています。そのためには、オープンな会話が必要です。

当社は何千ものクライアントから話を聞いていますが、その多くが同じ質問をし始めた場合に、クライアントが何かを伝えようとしていることに気付く必要があります。そして、「部屋の中で一番賢い人になるな」という哲学は、ここでも当てはまると思います。 もし、すべての取り組みが自分たちの考えだけで行われたとしたら、自分たちの方がよく知っていると思い込んでしまうでしょう。でも、実際はそうではありません。当社は、より多くのものを見ているだけです。そして、より多くのものを見ているので、当社の仕事は実際にはパターンを見つけることです。そうすることが、一部の目的主導型の業務の成長に貢献していると信じています。

ですから、クライアントがこの仕事を一緒にさせてくれることを、ありがたく思っています。そして、将来的に広告を人々にとってより良いものにする方法を考えてみましょう、と言います。本当にやってみましょう。こう言えるのは嬉しいことです。ぜひやってみましょう。