新しい地域でお客様とつながる5つの方法
2021年6月21日 | 投稿者： Heather Eng氏、シニア編集リーダー
自国では有名で愛されているブランドでも、グローバル展開する際には、そのエクイティや親和性が伝わらない場合があります。
定評あるブランドでも、多くの場合、新しい地域で足掛かりを得るには時間が必要です。ブランドの認知度を高め、感情レベルでお客様にリーチする必要があります。それと同時に、文化の違いを学び、適応し、ビジネスネットワークを構築しなければなりません。
カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルにおいて、Tamir Bar-Haim（Amazon Ads、国際展開担当ディレクター）がホストを務め、Priyanka Khaneja Gandhi氏（インド、Colgate-Palmolive、統合マーケティングコミュニケーションおよびeコマースマーケティング部門アソシエイトディレクター兼責任者）とPablo Sanchez Liste氏（L’Oréal Mexico、コミュニケーション、広報、持続可能性、デジタル、マーケティング部門最高責任者）がこのトピックについて話し合いました。インドとメキシコの両国ではデジタルアクセラレーションが普及しており、企業とお客様とのつながり方に大きな影響を与えています。
Pablo Sanchez Liste氏（メキシコ、L’Oréal、コミュニケーションマーケティング部門最高責任者）とPriyanka Khaneja Gandhi氏（インド、Colgate-Palmolive、統合マーケティングコミュニケーションおよびeコマースマーケティング部門責任者）
インドでは、インターネットがかつてないほど利用しやすくなっています。現在、インド人口の45%に当たる推定6億270万人がインターネットを利用しています。1
「デジタルはスケールとリーチの手段になっています。より多くの人々がデジタルに時間を費やしています」とGandhi氏は言います。「そして、それはコミュニケーションのためだけではありません。毎日さまざまな場面で使用しています。今では、ボンベイの起業家は自宅でビジネスを始め、デジタル広告を使用して、市内、国内、さらには世界中のオーディエンスとつながることができます。」
メキシコでは昨年、新型コロナウイルス（COVID-19）によってデジタルトレンドが加速しました。「メキシコでは、3年または5年かかると予測された進展がわずか数か月で実現しました」とSanchez Liste氏は言います。メキシコのデジタルリテール売上は、2019年から2020年にかけて前年比で81%増加したと推定されています。2
Gandhi氏とSanchez Liste氏が、デジタル化の進む地域で、どのように新しいお客様と効果的かつ確実につながっているかをご紹介します。
インサイトを活用してお客様を理解する
Gandhi氏とSanchez Liste氏は、両者とも消費者ファーストのアプローチを戦略に取り入れています。これは、より深いレベルでお客様を理解するということです。Colgate-Palmoliveの場合、Gandhi氏の率いるチームは、毎月数千回もの対面インタビューを実施し、オンラインインサイトも活用して、消費者行動の関連性の高い側面を理解するために役立てています。
L'Oréalの場合、Sanchez Liste氏の率いるチームは、消費者およびインサイト部門を作業の流れの中心に据えました。Sanchez Liste氏はその点を次のように述べています。
「グローバル戦略を地域のビジネスに適応させたい場合、このことが最も重要です。当社は、インサイトを得てトレンドを把握し、新しい行動に迅速に適応する目的で、調査に投資しています。こうした行動がトレンドになる前に把握することは非常に重要です。これが、メキシコのお客様とつながるために私たちがしていることです。」
翻訳ではなくトランスクリエーションする
次のステップは、キャンペーンが話し言葉で伝わるようにすることです。「翻訳」とは、ある言語から別の言語にテキストを変えるプロセスです。「トランスクリエーション」は、コンテンツを包括的にとらえて、ストーリーテリングや表現が特定の地域の人々に確実に語りかけるように適応させることです。
これが、Colgate-Palmoliveが翻訳ではなくトランスクリエーションを選ぶ理由です。「インドにはさまざまな州、言語、文化があります」とGandhi氏は語ります。「当社のキャンペーンはハイパーローカライズされています。平均すると、すべてのキャンペーンを13の言語にトランスクリエーションし、地域ごとに、メッセージをその文化や地方に特有の話し方に適応させます。」
たとえば、Colgate-Palmoliveが全国にキャンペーンを展開する際には、さまざまな有名人を起用します。「ボリウッドのスターはインドの北部と西部では高い
アピール力がありますが、南部と東部では地元の有名人を起用します」とGandhi氏は言います。「当社では、習慣やしきたりに関する知識をキャンペーンに活用します。たとえば、口をすすぐ習慣に関する地域的なインサイトを活用して、マウスウォッシュとの関連性を持たせました。コミュニケーションでは"Kulla"という口語的な言葉を使い、Vedshaktiマウススプレーには"aa karo, germs ko na Karo"というフレーズを使いました。南部では、家庭料理を食べたり、きれいな水で果物や野菜を洗ったりする例えを使うことで、積極的なオーラルケアについて考えてもらい、当社のブランドに注意を引きます。」
価値観を通してより深いレベルでつながる
同じようにSanchez Liste氏も、メキシコのお客様が現在のブランドに満足していないこと、また、L’Oréalがそれに対応してどのようにコミュニケーションをとる必要があるかに注目しています。
「メキシコには、持続可能性や男女平等などを非常に重視する若い世代がいます」と同氏は語ります。「また、消費者は原料や生産工程を知りたいと思っています。メキシコの消費者が求めているのは、コミットしているブランド、目的意識のあるブランド、より良い生活を送り、より良い世界を作るのに役立つブランドです。」
お客様に寄り添う
Sanchez Liste氏とGandhi氏の両者は、消費者第一のアプローチには、お客様に寄り添うことが含まれると考えています。
「ブランドはオーディエンスに寄り添う必要があります」とSanchez Liste氏は言います。「オーディエンスにリーチするのに最適な場所を見つけ、注目を集めるために関連性の高い事柄が何かを知る必要があります。」
たとえばメキシコには、ゲームが好きな若い世代（平均年齢29歳）がいます。
「メキシコには7,000万人のゲーマーがいます」とSanchez Liste氏は言います。「ゲームは、新しいオーディエンスとつながる大きなチャンスです。」 このようなオーディエンスにリーチするため、L’Orealの化粧品部門は最近Twitchと連携して、メディア認知度戦略を補完する戦略を立てました。
L'Oréal Mexicoは、若いゲーマーとつながるためにTwitchキャンペーンを実施しました。
共感を持ってお客様にアプローチする
お客様にリーチし、より深いレベルでつながるには、共感が鍵となります。世界的なパンデミック下では特にそうです。Colgate-PalmoliveとL'Oréalは、従業員とお客様の健康と安全を重視しています。
Colgate-Palmoliveはインドで、ビデオ通話、音声通話、テキストを使用して歯科医に無料で相談できる全国テレデンティストリーサービスを立ち上げました。3か月の間に、手指消毒剤を含むハンドクレンジングの完全なポートフォリオも開発しました。さらにColgate-Palmoliveは、人々が楽観的でいるのに役立つようにメッセージを適応させ、増幅させました。
「Dentists for me」は、新型コロナウイルス（COVID-19）のパンデミック下で人々にオーラルケアを提供するために、Colgate-Palmoliveがインドで立ち上げた無料のテレデンティストリーサイトです。
L’Orealは、その生産能力を活かして商品を生産し、寄付しました。また、不均等な影響を受けた女性に職業訓練を行い、就労をサポートする構想も立ち上げました。
「共感がすべてです」とSanchez Liste氏は述べています。「それはあらゆる人間関係の基本的な柱です。私たちはとても大変な時代に生きているので、消費者に近づくには、消費者を知り、理解する必要があります。」
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参照元
1インターネットユーザー、インド、eMarketer、2021年。
2Online Sales Mexico Association