Coca-Cola、McLaren Racing、Amazonが独自のキャンペーンを展開した方法

2021年6月22日 | 投稿者: Heather Eng氏、シニア編集リーダー

創造力あふれる天才は孤独にあくせく働き続けるという考えはおなじみの比喩ですが、正確ではありません。異なる背景や視点の人々が集まり、アイデアのキャッチボールをして、彼らのビジョンを融合する方法を理解すると、魔法のような結果が生まれる可能性があります。

「素晴らしいアイデアがオフィスやスタジオに引きこもっている1人の才能ある個人から生まれるということは、めったにありません。」とAmazon Adsグローバルアカウントおよび海外販売担当ディレクター、Zach Johnson氏は述べています。「画期的な発明や芸術作品は、コラボレーションの結果として生み出されたものもあります。これはマーケティングの世界にもあてはまります。複数のブランドがリソースと創造性を融合させることで、彼らの共通のお客様を驚かせ、喜ばせる、強力なキャンペーンを展開できます。」

そのようなキャンペーンの1つが、Coca-Cola、McLaren Racing、Amazonの3者間のコラボレーションである「Driven to Deliver」です。F1アメリカグランプリ2019に出場するわずか数日前、ドライバーのLando Norris氏とCarlos Sainz氏がオースティンでAmazonの荷物をCoke Zero Sugarの6本パックと一緒に配達し、お客様を驚かせました。キャンペーンは世界中のファンにヒットしました。

カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルで、Johnson氏はThe Coca-Cola CompanyとMcLaren Racingとのパネルディスカッションを主催し、キャンペーンを成功させた要素について議論しました。ここでは、複数のブランドが知恵を寄せ合ってお客様を第一に考えたときに、強力なキャンペーンを生み出すことができるということについてご紹介します。

価値観と目標を一致させる

The Coca-Cola Companyのグローバルスポーツアンドエンターテインメントマーケティングおよびパートナーシップ担当バイスプレジデントであるBrad Ross氏は、ブランドのコラボレーションを成功させる重要な要素は3つあると主張します。

「まず、価値観を一致させることが必要です。それが最低限必要なものであり、出発点です。」と彼は言います。「次に大事なのは、各ブランドの強大なパワーを理解することです。それぞれのブランドの性質が異なるほど、互いに補完できる場面が増えます。3つ目の要素は、目標に沿って進めることです。」

そして、「未知の要因があり、常に起こるとは限らないのですが、これが起こったときはまるで魔法にかかったようです」とRoss氏は付け加えます。「これがすべてを1つにまとめる要素です」

McLaren Racingのマーケティング担当エグゼクティブディレクターであるClaire Cronin氏は、ブランドのコラボレーションに同様の方法で取り組んでいます。

「私たちは自問自答します。『このパートナーは私たちのような目的主導型だろうか? 彼らは私たちと同じ価値観を持っているのだろうか? そして彼らは、私たちとオーディエンスを共有し、オーディエンスとの関わり方について、私たちの望むやり方を共有しているだろうか?』」と彼女は言います。「この機会が一緒になったとき、意見が一致し、3つのブランドが本当に1つになるのです。なぜなら、Coca-Cola、Amazon、McLarenが、お客様のことを同じように捉えて考えているからです。」

ユニークな体験を想像する

ブランドアクティベーションを発展させるときが来て、Coca-Cola、McLaren Racing、Amazonは、お客様を感動させるような独自の体験を作りたいということで意見が一致しました。

「経験経済は今、とても重要です」とRoss氏は言います。「私たちはオーディエンスを見て、それぞれの[協力者]がどんなアイデアを出すのか理解しようとしていました。そして、私たちはどんな経験が革新的で刺激的になるのかを考えていました。お金では買えない経験で、私たちが協力し始めることができる体験です。」

3つのブランドが協力し合い、McLarenのF1ドライバーがレース用のフル装備でやってきて、何も知らないAmazonのお客様に荷物を届けるというコンセプトにたどり着きました。

「F1レースカーのドライバーから無料のコカコーラと一緒に手渡されるAmazonの配達を受け取るなんて、それ以上に記憶に残って友達や家族と共有したくなるソーシャルカレンシーが他にあるでしょうか?」とCronin氏は言います。

キャンペーンの撮影中にMcLaren 600LTの車内から顔を出しているLando Norris氏(2019年の写真)。

人のつながりをつくる

注目を集める目新しさという点では、このキャンペーン動画はオーディエンスに受ける要素が揃っていました。しかし、2人のドライバー同士の遊び心のある雑談こそが成功に導きました。

「最大の収穫は、2人のドライバーの相性です」と、The Coca-Cola CompanyのAmazon担当グローバルバイスプレジデントであるMatt Tarallo氏は言います。「そんな関係を持つ2人のドライバーの、本当の性格を見ることができました。非常に有機的でした。ファンは作り物の台本どおりのコマーシャルは受け入れません。あれは本当に共感されたのです。」

ファンは、レースに一点集中しているドライバーを見慣れているので、2人のMcLaren Racingのドライバーがリラックスした環境にいる姿を見ることができて喜びました。

Tarallo氏は、高いクリックスルー率と動画の完成度を挙げて、「お客様には、メイキング映像で撮影の様子を知れることが大好評でした」とTarallo氏は言います。「自分がストーリーの一部であるかのように感じられたのでしょう。」

セットにいるCarlos Sainz氏とLando Norris氏(2019年の写真)。

Lando Norris氏は、ハンドルを握っていないときの彼を知る機会をファンに与え続けています。

「彼らと交流する一番よい方法はTwitchです」と彼は言います。「ファンに私の本当の姿を見せることができます。彼らはF1のカメラ映像だけを見慣れています。車を運転する私と、ときどきパドックにいる私の姿です。しかし、彼らは私がカジュアルな服を着て、家に戻っておしゃべりする姿を見て、まったく別の一面を見ることができて喜んでくれています。とても楽しいです。楽しんでやっています。そして、F1のドライバーがどんなことをしているのか、さらによい経験をファンに与えています。」

Amazonの配達でお客様を驚かせようとしているLando Norris氏(2019年の写真)。

アラブ首長国連邦への拡大

このプログラムにおけるCoca-Colaの目標の1つは、一回限りのアクティベーションにとどまらず、潜在的にグローバル化できるようにすることでした。アメリカから動画を公開した後、各ブランドは繰り返し始めました。彼らはアブダビでも同様の体験を生み出しました。そしてCoca-Colaは、ファンがMcLaren Racingの備品がもらえるプログラムを自社サイト上に構築しました。

「サイン入りの商品でも、ヘルメット、スーツ、自動車部品でも、この種の世界的なエンゲージメントや啓蒙は聞いたことがありませんでした」とTarallo氏は言います。

この体験に参加し、レーストラックの外でドライバーの個性を目にした3つのブランドすべてと世界中のファンにとって、この体験型マーケティングキャンペーンは大成功でした。

「このような体験を生み出すのを見たとき、AmazonとCoca-Colaとの連携で素晴らしい点は、彼らがエンドツーエンドのカスタマージャーニーについてよく考え、最初から最後までどのようにして驚きや楽しみを与え、ちょっとした喜びをちりばめるかについて考えていることです」とCronin氏は言います。「それによってこのコラボレーションが1つになり、このような素晴らしい体験が、それを受け取る人々のために生み出されました。」