ブランドが社会問題に対して声を上げる方法

2021年6月21日 | 投稿者: Heather Eng氏、シニア編集リーダー

2020年夏、ジョージ・フロイド氏の殺害に抗議し、「ブラック・ライブズ・マター」と社会正義の追求を支援するために、米国内や世界各国で何十万人もの人々が街頭を行進しました。

プレミアムウォーターブランドであるLIFEWTRのブランドチームもまた、行動に駆られました。「当社のチームは社会的緊張が高まるのを見て、ブランドとして何かしたいと思ったのです」と、LIFEWTRでマーケティング・コミュニケーション部門長を務めるMichael Smith氏は語ります。「一方で、LIFEWTRらしい行動を取りたいとも考えました」

LIFEWTRは、アート作品が描かれた透明なボトルで知られています。2017年の創業以来、LIFEWTRは年に複数回パッケージをリニューアルして、過小評価されているグループのアーティストなど、さまざまなアーティストを紹介しています。

2020年の夏、「当社は重要なインサイトを発見しました」とSmith氏は続けます。「歴史の過程で、アーティストやクリエイターは社会正義の運動を拡大させてきました。当社は、社会正義の追求により作品を生み出したアーティストと提携し、より多くの人々が黒人アーティストの作品を見て、社会における平等の重要性を理解できるようにするために、大規模なオーディエンスに向けて彼らを発信することにしました」

その結果、8人のアーティストを紹介する「デジタルタイムカプセル」の「Black Art Rising」が誕生しました。バーチャル体験は、実際にアートギャラリーを訪れた気分にさせるものでした。視聴者は各アーティストのプロフィールを読み、さまざまな作品を鑑賞できました。そのすべてが運動に対するアーティスト達の解釈を生き生きと表現したのです。LIFEWTRはソーシャルメディアでアーティストを宣伝し、一週間にわたってInstagramチャネルで各クリエイターを特集しました。

2月の黒人歴史月間には、LIFEWTRは限定版「Black Art Rising」ボトルシリーズを発売しました。これらのシリーズには、 Adler Guerrier、Dawn Okoro、Tajh Rustの3人のアーティストの作品が描かれています。Amazonでは、LIFEWTRはストアをギャラリーに変え、各アーティストとその作品を紹介して、アーティストのウェブサイトへのリンクを追加しました。

「Black Art Rising」を特集したLIFEWTRの Amazonストア

「消費者の反応は非常に良いです」とSmith氏は話します。「アーティストの作品をすべて見たいという声がありました。ブランドのビジョンとミッションを信頼してくれています」

昨今、お客様は価値観に基づいて購入するようになってきています。Salesforceによる最近の調査では、消費者の71%が一年前よりも企業の価値観を重視するようになり、61%の消費者が、価値観が一致しない企業からの購入をやめていることが明らかになりました。1それにもかかわらず、一部のブランドは、社会問題に対して声を上げるにあたって、苦戦を強いられています。現代のお客様は、行動が言葉よりものを言うことを理解しています。ブランドの社会運動が真の意味での運動というより、パフォーマンスであればわかってしまうのです。

Amazon Advertisingに掲載された、最近の ADWEEK「At Home」パネルで、Smith氏はブランドがお客様の信頼を築きながら、有意義な方法で社会運動に参加できる方法についてアドバイスを紹介しました。

LIFEWTR、マーケティング・コミュニケーション部門長、Michael Smith氏

ブランドの意義と価値観を知る

社会問題に対して声を上げるには、ブランドアイデンティティから始まります。

「貴社のブランドは、どのような価値観を支持しているのでしょうか?」とSmith氏は尋ねます。「その価値観に基づいて、すべてが成長しなければなりません。LIFEWTRはブランドとして、創造性を刺激できるよう目指しています。だからこそ、これまでと同じように「Black Art Rising」にアプローチしました。当社の中心的なミッションに忠実であると感じたからです。そして、過小評価されたクリエイターに意見を発信する機会を与えることで、社会的に肯定的な影響をもたらす方法で実現できると感じました」

Smith氏は、マーケティング担当者に対して、自社のブランドが支持する価値観を特定することから始め、真の意味でその実現につながるものを判断することを推奨しています。

quoteUp異なるチームで1つのビジョンに集中すれば、魔法が起こります。ビジョンを共有して、共有された目的に向かって業務にあたっていれば、きっとより良い仕事ができるようになります。quoteDown
— LIFEWTR、マーケティング・コミュニケーション部門長、Michael Smith氏

ブランドらしい方法で声を上げることで「マッスル・メモリー」を作る

次のステップは、自分の行動を評価することや、将来的に社会に肯定的な影響を与えることができると信じて、ブランドが支持する価値観に寄り添うことです。

「ベン図でその重なりが見つけられれば、真の成功をつかむことができます」とSmith氏は語ります。「マーケティング担当者が前向きな意図があっても上手くいかないのは、その重なりを見つけられないのだと思います。権限を持つのに十分な価値を構築できていない、または明白かつ透明性の高い方法で文化に関連する分野に及ぶ会話や問題に踏み込んだ時です」

Smith氏は、そのエクイティをマッスル・メモリーの構築に例えています。これは、練習を通して本質的に特定の行動を取る方法を筋肉が「記憶」するプロセスです。LIFEWTRには、大勢の中では意見が埋もれやすいアーティストを発信してきた歴史があります。このような「マッスル・メモリー」により、同社は「Black Art Rising」を生み出しました。一貫して業務にあたりながら、ブランドアイデンティティに寄り添っていたのです。

「価値観に従って行動すれば、お客様をはるかに支持しやすくなります」と、Smith氏は話します。「そうしなければ、普段練習していない分、バットを振っても失敗する確率は無限に高くなります」

価値観を頻繁に伝える

Smith氏が指摘したように、声を上げるというのは一回限りのツイートやInstagramの投稿にとどまるものではありません。現代のお客様はブランドの真の取り組みを見たいと考えています。

「すべての行動において、一貫性を持ちたいと思っています」と、Smith氏は説明します。「去年の夏だけではありません。黒人歴史月間だけでもありません。当社のブランドが支持する価値観についてであり、終始一貫している必要があります」

LIFEWTRは「Black Art Rising」に続き、女優、作家、プロデューサーであるIssa Rae氏とのコラボレーション「Life Unseen」を発表しました。

「このコンセプトは、目に見えないものにはなれないということです。黒人のクリエイター、LGBTQ+のクリエイター、もしくは過小評価されたコミュニティのクリエイターが人目に触れられることなく、彼らの作品が見られなければ、同じコミュニティの若者たちは彼らがチャンスをつかめるとは思えません。自分達と似ている境遇で、人目に触れられず成功したのは誰もいなかったからです」と、Smith氏は語ります。

Life Unseenでは、映画、テレビ、音楽、視覚芸術、ファッションの分野における20人のクリエイターの作品を特集しています。LIFEWTRはRae氏と提携して、アーティストを発掘してプロモーションを行い、彼らの作品の一部に資金を支援しました。

LIFEWTRが別の形で、ブランドに忠実でありながら、芸術分野で過小評価された意見を発信するというミッションを続ける方法でもあります。

価値観を共有する組織とのコラボレーション

価値観を共有する人や組織と協力することには、強みがあります。LIFEWTRには、Issa Rae氏や個人のクリエイターなど、「Black Art Rising」のプロモーションを支援したAmazonのような企業が参加しています。

「異なるチームで1つのビジョンに集中すれば、魔法が起こります」と、Smith氏は語ります。「ビジョンを共有して、共有された目的に向かって業務にあたっていれば、きっとより良い仕事ができるようになります」

お客様を理解して信頼する

「最終的にはブランドの意義について考えると、影響力の高いブランドは個人の自己アイデンティティの一部を形成しています」と、Smith氏は説明します。「だからこそ、お客様はブランドとのつながりを持ちたいと考えています。それがブランドの商品を購入する理由の一部です」

「リスクを回避するのはいつも簡単です」と、Smith氏は続けます。「自分が正しいと思うことに対して声を上げる際には、ブランドの味方であるというお客様の意志を信じましょう。そして、お客様を理解して、ブランドを理解できれば、失敗よりも成功する確率の方が高いはずです」

1「State of the Connected Consumer, fourth edition」、Salesforce、2021年。