ファネル全体のマーケティング効果を測定するための5つのポイント

2020年11月24日 | 投稿者: Nina Brentlinger、シニア商品マーケティングシニアマネージャー

現在、Amazon Adsにおけるフルファネルアプローチは、Amazonでのビジネスを成長させるための強力なフレームワークとなり得ます。フルファネル戦略は、現在のオムニチャネルジャーニーに適しているだけでなく、このアプローチを採用する広告主様は、ブランドの認知から検討、コンバージョンに至るまで、マーケティングファネル全体でより優れた結果を得ています。

Amazon Adsは、フルファネルソリューションのプロバイダーとして、独自の地位を確立しています。ユニークリーチと関連性を提供するプロダクトにより、日常生活全体を通じてお客様にリーチし、キャンペーンを継続的に改善し最適化するために必要な幅広い詳細なインサイトを提供します。

この記事では、フルファネル戦略の測定と最適化により、予算の効率性と顧客体験を向上させるための5つのポイントを紹介します。

1.Amazon外での広告の効果を測定する

Sudsの例を思い出してください。 フルファネルマーケティングに関する以前のブログで、「Suds」という架空の石鹸会社を取り上げ、2人の購入者がブランドとどのように関わっていくかについて例を挙げました。たとえば、1人はFire TVでSudsの石鹸を見つけたのに対し、別の購入者の購入過程では、Amazonで商品レビューを読んで情報を入手しました。

ですが実際には、購入者がブランドを見つけてつながりを持つようになるための手段は、Amazon Adsだけではありません。たとえば、ソーシャルメディアフィードの動画で、Sudsの石鹸を見つけることもあります。検索エンジンを使用してSudsの石鹸を検索したり、Sudsの自社サイトでブランドについて調べたりする場合もあります。

フルファネル戦略には、検索、ソーシャル、Eメール、時には自社のリテールWebサイトなどのチャネルが含まれる場合が多いことも事実です。そのためAmazonでは、Amazonアトリビューションなどのプロダクトを構築し、あらゆる場所での体験を最適化することにより、Amazon内でのビジネスの成長をサポートしています。

Amazonアトリビューションは、測定、最適化、計画を行うためのツールと考えることができます。まず、Amazonアトリビューションは、Amazon外のメディアチャネルおよびマーケティングチャネルが、Amazonでのショッピング活動と売上パフォーマンスにどのように貢献しているかを測定するうえで役立ちます。次に、これらのインサイトを基に、クロスチャネル広告を最適化できます。たとえば、ある検索エンジンでの広告のパフォーマンスが、別の検索エンジンでの広告よりも優れている場合は、戦略を調整できます。最後に、Amazonアトリビューションを使用して戦略を測定すると、今後のマーケティング戦略を計画するのに役立つ傾向やベンチマークを特定し、ROIを最大化させるうえで役立ちます。たとえば、新商品の発売時に、メールが最も効率的なチャネルと判断したとします。このインサイトを考慮したうえで、今後の商品発売を計画できます。

Amazonアトリビューションのインサイトを最適化に活用して、フルファネル戦略の改善を図った広告主様は、大きな成果を達成しています。たとえば、Beavercraftでは、Amazonアトリビューションのインサイトを活用して、マーケティング戦略を普及させることで、売上が倍増しました。また、MidWest Homes for Petsでは、Amazonアトリビューションを利用してフルファネル戦略を最適化することで、広告費用対効果(ROAS)が32%増加しました。

どのような仕組みなのでしょうか? タグを生成して、検索広告、ソーシャル広告、ディスプレイ広告、動画広告、マーケティングメールに実装するだけです。このタグは、マーケティング戦略が、クリック数、商品詳細ページの閲覧数、カートに入れる、Amazon内での購入などの指標にどのように影響を与えているかを知るうえで役立ちます。Amazonアトリビューションは無料です。Amazon内で商品を販売する、米国、英国、カナダ、フランス、イタリア、スペイン、ドイツのお取引会社様とブランド登録している出品者様が利用できます。スタンドアロンの効果測定ソリューションとして、統合されたツールプロバイダーを通じて利用できます。

I and love and you

ペットフードブランド「I and love and you」にとって、Amazonアトリビューションの活用は、すべての広告投資がAmazon内での売上にどのようにつながっているか全体像を理解するのに役立ちました。その方法をご覧ください。

2.ファネル全体でオーディエンスを理解する

より多様なマーケティング戦略では、より多くのインサイトを得て、オーディエンスを理解し、それに応じてメディアを微調整できます。たとえばSudsでは、「Surf and Sea」のオーディエンスは30~39歳の男性だと考えるかもしれません。オーディエンスインサイトレポートを見ると、サーフィンを楽しみ、ジープに関心があり、最近日焼け止めを購入し、ビアードオイルや子ども用バスケットゴールを検索している他のオーディエンスと重複していることが判明します。そのため、実際のオーディエンスは「アウトドア志向の若い父親」であることに気付きます。

Sudsはこのインサイトを基に、商品詳細ページ、ストア、広告クリエイティブで画像を掲載して、関連性を高め、クリック率などのエンゲージメント指標を向上させることができます。たとえば、ビーチで子供と一緒にいる父親のライフスタイルの画像を作成します。また、これらのインサイトを使用して、オーディエンス戦略を最適化することもできます。たとえば、商品ターゲティングを利用して、ビアードオイルを閲覧している購入者に石鹸を表示します。または、Amazon DSPでディスプレイや動画を使用することで、ジープに関心を持つインマーケットオーディエンスの認知度を高めることもできます。

Sudsは、ファンネル全体でのオーディエンスの違いにも気付きました。たとえば、Sudsの認知度キャンペーンは男性に対して最も効果的ですが、ローワーファネルのキャンペーンでは、女性にも同様の効果が見られることがわかりました。商品の機能面でのメリットと価格をアピールするパフォーマンス広告に反応を示す購入者もいれば、サーフィンの画像に反応する購入者もいます。Sudsにとって、ブランディングは、クリエイティブ戦略とオーディエンス戦略を改善するうえで役立つ可能性があります。

自社のリテールサイトにピクセルを配置して、Amazon Adsがトップページの訪問数、注文数、またはカスタマージャーニーにおけるその他のタッチポイントにどのように貢献しているかを把握することもできます。ピクセルについての詳細情報は、アカウントエグゼクティブにお問い合わせください。

3.購入者の購入過程をカスタマイズする

Amazon広告サーバーは、オーディエンスがショッピングジャーニーのどの段階にいるかに応じて、コミュニケーションをカスタマイズするうえで役立ちます。Amazon広告サーバーを利用することで、クリエイティブを管理し、インパクトのある関連性の高い広告でオーディエンスに働きかけると同時に、クロスチャネルのインサイトを集約してキャンペーンの最適化に役立てることができます。

たとえば、広告サーバーを使用して、以前に商品を閲覧したことのあるオーディエンスには、閲覧したことのないオーディエンスとは異なるCTA(前者には「今すぐ購入」、後者には「詳細はこちら」など)を表示するルールを設定して、キャンペーンを最適化できます。また、対象オーディエンスの地域に応じて画像をカスタマイズしたり、ベストセラーが在庫切れの場合は、売上2位の商品をクリエイティブに表示するルールを設定したりできます。Amazon広告サーバーでは、あらゆる種類のシグナルフィードやデータフィードを取得し、それを使用して数十万ものクリエイティブを作成できます。そのため、適切なタイミングで、適切なクリエイティブを使用し、適切なオーディエンスにリーチするうえで役立ちます。たとえば、SudsはAmazon広告サーバーを使用して、スティンソンビーチの画像がベイエリアのオーディエンスに効果があるかをテストできました。

Amazon広告サーバーは、ブランドのサイトやAmazonでの(リーチ、クリック数などの指標に関する)集計レポート、購入までの過程に関するインサイトを提供するため、マーケティング活動全体についての信頼できる情報源を一本化できます。たとえば、Sudsが自社サイトでクーポンを発行して、クーポンの利用率を把握したい場合、Amazon広告サーバーは、Amazon Adsを含むすべてのSudsのメディアプロバイダーの合計利用率について、レポートを提供します。また、Amazon広告サーバーでは、コンバージョンとさまざまなクリエイティブ、地域、デバイスの種類などの関連を確認したり、購入者が広告をクリックしてクーポンをダウンロードするきっかけとなったイベント(あらゆる場所でのイベントも含む)について、インサイトを入手したりできます。

4.集約された同業他社群と広告費を比較する

広告主様によっては、自社の広告戦略と、商品カテゴリーで集約された同業他社とを比較することが役立つ場合もあります。たとえば、Amazon Adsチャネル全体での広告費を、カテゴリー内の同業他社と比較したり、売上、ブランド検索、定期おトク便などの指標を上回っているか、下回っているかを確認したりできるかもしれません。これを「同業他社群」といいます。

5.ROAS以外の視点で考える

最後の点として、フルファネル戦略に関係するのは、広告費用対効果(ROAS)だけではありません。アッパーファネルへ進むにつれて、アッパーファネルの活動の広告費用対効果が、ローワーファネルの活動よりも低いように感じられることでしょう。これは普通の現象なので、ご安心ください。

フルファネルマーケティングの詳細なガイドにあるように、ファネルは、オーディエンスのエンゲージメントを可視化するのに役立つフレームワークです。通常、ローワーファネルの活動では、小規模ながらエンゲージメントの高いオーディエンスにリーチします。アッパーファネルに進むにつれてリーチするオーディエンスは増えますが、大抵、購入意欲が湧くまでには、より多くの情報やエンゲージメントが必要になります。そのため、アッパーファネル広告で収益を上げられるまで、時間がかかる場合があります。これらのキャンペーンは、すでにブランドに関心を持っているオーディエンスの売上を伸ばすことではなく、増えていくオーディエンスに情報を提供して働きかけることを目的としているからです。たとえば、Fire TV広告でブランドを知った購入者は、最終的にスポンサープロダクト広告を通じて購入するか、商品検索結果のリストからその商品を選択して購入する場合があります。この場合、Fire TV広告は特定の購入に貢献したとはみなされませんが、ファネルを拡大するうえで重要な戦略です。

広告は、広告対象商品だけでなく、Amazonでブランド全体を成長させるうえで役立ちます。そのため、売上全体を確認して、広告の全体的な効果を把握することが重要です。

売上合計に加えて、ファネルの各段階で進捗状況を測定するための有用なマーケティング指標をご紹介します。これらの指標により、効果の高い段階と、さらに多くの投資が必要と思われる段階を評価できます。

  • 認知度の向上:リーチ、クリックスルー率(インプレッション数と比較したクリックスルー数)
  • 検討の増加:ブランド検索(クエリにブランド名を含む商品検索ワードの数)、商品詳細ページの閲覧数、ストアトラフィック、商品詳細ページ閲覧数の平均単価
  • 売場の所有: ブランド新規顧客による売上、カートへの追加率
  • コンバージョンの誘導: ROAS、ACOS、注文数、購入単価
  • 販売準備:おすすめ商品の提示、レビューの星の数4以上、20件以上の商品レビュー
  • ロイヤルティの構築:リピート購入率、Amazon定期おトク便の登録率、購入の間隔

フルファネル戦略の概要と、それがより良い成果をもたらす理由について詳しくは、 フルファネルシリーズの以前の投稿をご覧ください。