2021年におけるデジタル広告の4つの主な傾向

2021年1月19日 | Heather Eng、シニアマーケティングマネージャー

消費者行動は毎年変化するものであり、2020年も同様でした。北米でマーケットプレイスサービスを提供するWunderman Thompson Commerceの社長、Frank Kochenash氏と、米国Amazon Adsの代理店開発責任者のLisa Coffeyが、2020年における消費者行動の最大の変化と、それが2021年にデジタル広告にとって何を意味するかについて考えます。

消費者の新しい生活様式への適応

Lisa Coffey: 2020年を振り返って、最も影響の大きい消費者トレンドにはどのようなものがありましたか。

Frank Kochenash氏: 良い質問ですね。まずは、お客様に焦点をあて、そこから「ワーキングバックワーズ」の意識で始めた方がいいですね。2021年以降も続くであろうと考えられるいくつかの変化がありました。

オムニチャネルの重要性

当社のクライアントのポートフォリオ全体で、消費者は店舗だけでなくオンラインで購入するようになりました。このような変化は当初、昨年の早い時期に行われたロックダウンで、実店舗での購入が制限されたことによって生じました。しかし、オンラインと実店舗の両方で購入する選択肢を持つことに対して消費者は引き続き関心を示しており、当社はそれを持続的なものと考えています。それは主に次の大きな傾向の影響によるものです。

健康と安全を優先

健康と安全は、購入における重要なポイントとなっています。これは、商品のマーケティング方法、梱包方法、販売方法に影響します。お客様は依然として価格、価値、持続可能性を重視していますが、さらに健康と安全に関する情報や、商品がどこでどのように製造されているかについての透明性も求めるようになっています。

新しい生活様式への適応

クライアントベース全体で、新しい生活様式にシフトしていることを示す、購入の変化が見られました。アウトドア、ホーム&ガーデン、スポーツ用品などの販売が好調でした。また、学校の再開により、紙製品や衣料品の購入が増加すると同時に、学生たちの学習ポッドを整えるために多くの人が机や椅子、スクリーンなどの屋外家具を購入しました。

ブランドとデジタルコマースの融合

Coffey: リテールの広告主は、売上目標とブランド目標をどのように推進していますか。

Kochenash氏: 今年は、販売促進マーケティングが活発に行われました。オンラインマーケティングやパフォーマンスマーケティングへの転換です。クライアントは売上の獲得を優先し、人々のオンライン購入が増加する中で、できる限り販売シェアを獲得できるよう取り組んでいました。

ブランドとデジタルコマースの連携

とはいえ、ブランドとデジタルコマースの優れた補完関係については、あまり評価されていません。強いブランドを構築することは非常に重要です。私の考えでは、動画やデジタルメディア、Prime Video、Peacock、Netflixといったストリーミングサービスなど、消費者が閲覧している場所や消費者が関わっている場所はすべて、ブランドを構築する機会となります。デジタルメディア、ブラウズ、ストアでのショッピングなど、一部のチャネルやアクティビティは、これまで販売促進チャネルと考えられてきました。しかし、これらはブランド構築の大きな機会を生み出すものでもあり、特に今はこうしたアクティビティへの消費者の関心が高まっています。ブランド促進のための比較的安全な場所を探しているブランドは、ブランディングとダイレクトレスポンスを行う上で、特にデジタルでの「販売場所」を検討する必要があります。

お客様を中心としたマーケティングと広告のアプローチ

Coffey: 先ほど、まずお客様に焦点をあて、そこから「ワーキングバックワーズ」とおっしゃいました。2020年は、代理店や広告主はお客様向けのどのような革新的な取り組みを行っていましたか。 どの戦略や戦術を2021年にも継続していくとよいと思いますか。

Kochenash氏: 2020年に発生した困難な状況ゆえに、ブランドはお客様向けの様々なイノベーションに力を入れました。お客様が求めているものを目立たせるために、ブランドはメッセージとパッケージを調整しました。オンラインショッピングチャネルでは、たとえば、商品ページのコンテンツを変更して、清潔さと安全性を強調しました。また多くのブランドでは、ロックダウン、ソーシャルディスタンス、仕事の中断など、困難の中で生活する消費者に共感するような広告に調整することも行っていました。

ブランドエクスペリエンスを刷新する企業もありました。たとえば、M&M/Marsのキャンペーンは興味深いものでした。同社では、今年のハロウィンはいつもと全く違うものになるだろうと考え、ハロウィン気分をリビングルームで味わえるような取り組みを行いました。まず、Fire TVで、インストリーム動画ショッピング広告と組み合わせた「ストリーム&スクリーム」イベントを開催しました。また、ハロウィンの5日前にはAmazon Liveイベントを開催し、トリック・オア・トリートや普通のパーティーに代わるものとして、自宅でハロウィンを楽しむためのアイデアを提案しました。

LC: 代理店や広告主にとって、2021年におけるお客様中心の広告アプローチとはどのようなものになるでしょうか。 また、現在のオムニチャネル環境において、カスタマーエクスペリエンスを継続的に向上させるにはどうすればよいでしょうか。

Kochenash氏 ご紹介したいくつかの具体的なイノベーションだけでなく、昨年は多くの代理店や広告主で働き方に変化がありました。3つの変化があったと思います。

1つ目は、俊敏性が向上したこと

3月には、代理店とそのクライアントは合同で毎日スタンドアップミーティングを行い、とにかく優先目標に集中しました。このような取り組みのいくらかを今でも続けているなら、競合他社よりも素早い行動や反応ができることになります。

2つ目は、多くのブランドがレジリエンスの価値を認識したこと

レジリエンスは堅牢性、つまりシステムが混乱に耐える力です。堅牢性を構築する一般的な1つの方法は、冗長性を確保することです。バックアップのフルフィルメント、代替の販売チャネル、複数の製造元を持つことはすべて、レジリエンスにつながります。こうしたものにはコストがかかります。しかし、レジリエンスには真の価値があり、2020年には確かにそれが証明されました。金融業界では、たとえば経済ショックに対するローンポートフォリオなどのレジリエンスを確かめるため、「ストレステスト」が実施されます。私は、大手企業が同様の方法を開発していくと考えていますが、大抵、このようなシステムを構築する予算を確保することが課題となります。

3つ目は、共感に対する新たな評価

ブランドとは、消費者ニーズを評価したり、ひき付けるメッセージを開発したり、目的を推進するメッセージを伝えたりするために使われるものです。しかし、2020年のマーケティングではお客様に共感するようなブランドが増えました。多くの場合、問題解決は共感することから始まります。2020年はこの点を大変な状況で再認識することになりましたが、今後も重要な点になると思います。

長期的な視野を持ちつつ学習を繰り返す

Coffey: 最後に、ブランドに関して考えをまとめるとどうなるでしょうか。

Kochenash氏: そうですね。私の考えを要約すると、次のようになります。

学んで適応すること

新規のお客様を獲得することができており、新しい習慣が形成されています。当社のクライアントは、新商品、類似商品、代替商品を売り出しています。消費者は色々な選択肢から購入したいと考えているので、これは重要です。もし成長することを目標としているのであれば、今がその時です。分析を積極的に活用して何が起こっているのかを知り、適応することです。

長期的に考え、変更を加えること

これは、新商品、新しいチャネル、または新しいサービスに投資するという形もあれば、買収や売却を行うという形もあります。これは、業務におけるレジリエンスを構築することとも言えるかもしれません。外的要因で運命が決まってしまうより、それにうまく対応し、制御する方がよいでしょう。

そして最後に、安全であること

これは「正しいことをしよう」という一般的な意味ではなく、具体的なビジネス上の意味合いです。レジリエンスに関する先ほどのアドバイスと関係しています。今後私たちは安全性、特にお客様の安全と従業員の安全を新たな視点で考えていくことになると思います。これに上手に対応する企業は、対応しない企業より優位性を得られるはずです。ブランドは、安全性、健康、堅牢性を、マーケティングや広告のプラン、サプライチェーンや流通のプランに、どのように組み込む必要があるかを考える必要があるでしょう。